ジャーナルvol.3「メンタードリブンアプローチ」
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ジャーナルvol.3「メンタードリブンアプローチ」

「起業トレンドジャーナル」では、全国の起業家・支援者の方々から、起業に関するテーマでお話いただきます。
vol.2では、各地の創業・新事業支援拠点の運営等に携わり、起業家への支援等をされている吉田さんから、「メンタードリブンアプローチ」をテーマに寄稿いただきました。


吉田 匡氏
(タシテン株式会社 代表取締役)

<プロフィール>
大手総合リース会社営業職、外資系企業マーケティング職を経て、東北大学産学官連携推進本部国際連携室長准教授、千葉大学大学院融合科学研究科特任准教授を歴任。その間、福島駅西口インキュベートルームにて創業支援にも従事。2014年からは独立行政法人中小企業基盤整備機構が開設した、創業・新事業支援拠点「BusiNest」立ち上げに参画、2017年3月まで、日本初の公的機関直営アクセラレーターである、BusiNestアクセラレーターの企画・運営に従事。現在は、若手起業家への定期的なメンタリングを行う他、地方での創業支援プログラム構築の支援も積極的に行っている。
東北大学大学院工学研究科博士課程修了(工学博士・技術経営)、オーストラリアGriffith University,Nathan,MBA

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メンタードリブンアプローチ

1.「メンター」その言葉との出会い

 「メンター」今や世間に溢れる創業支援、スタートアップ支援プログラムの紹介ページの中でも必ず登場する。また、学卒で新入社員として入社した後、指名された先輩が「私があなたを担当するメンターです」と付いてくれることも一般的であろう。
 しかしながら、昭和バブル期、失われた平成30年間を駆け抜けたアラフィフの筆者にとって、メンターという言葉が目の前に現れた時期はつい最近である。2013年、当時、中小企業基盤整備機構にてリサーチャー(中小企業やそれを取り巻く環境に関する調査・研究員)として国内外の創業支援施設・プログラムを調査した際に、メンターと言う言葉に出会った。

2.アクセラレーターの中のメンター

 その頃は欧米において、Yconbinator、Techstars、500startup、Startup Saunaなどのアクセラレーターが脚光を浴び、実績を出し始めていた時期であった。筆者もフィンランド、イギリス、アイルランドのアクセラレーターを現地にて調査し、「メンターは本当に機能するのか?」との質問を投げかけると、どのプログラムにも100名以上のシリアルアントレプレナーなどの成功者がメンターとして登録されており、起業支援を担う人間はその地域に根付き、自らも事業で成功した様なごく一握りのスーパーマン的な方々がインキュベーターのマネージャーとして行うものと認識していた筆者には衝撃であった。
 そこから、何の因果か、その中小企業基盤整備機構にてBusiNestアクセラレーターという創業支援プログラムを自ら運営することになるのだが、そこで欧米のプログラムの様に様々なスペシャリティを持つ方々のメンター就任に奔走し、実際に起業家へのメンタリングをお願いし、自らも高知スタートアップパークなどの起業支援プログラムでメンターをしていた。 
 そうした経験を踏まえ、その中でメンターについて良く人から聞かれたこと等から、これからの起業支援になぜ、メンターが必要なのか?メンタードリブンモデルが機能するのか?考えてみたい。

3.「メンター」と「経営相談員」どう違うのか?

 はじめに、これは最も多く受けた質問の一つであるが、多くの自治体や商工会議所が設ける経営相談窓口とそこに居る相談員とメンターの違いである。
 一般にそれらの経営相談窓口には税理士、公認会計士、弁護士などの士業の方々が相談員として日替わり的にアサインされ、「相談したい方、それぞれの経営課題に応じて相談員にご相談下さい」と相談者が持つ課題の解決に取り組んでいらっしゃる。ここで前提となることは課題、そしてその課題の本質が明確であることである。交渉している取引がまとまり、さあ契約関係をどうしよう?となれば相談員に弁護士の先生が来ている時に相談に行くことになる。そんな場合である。
 しかしながら、まだ「こんなことをやってみたい」というアイディア段階ではそれを実現するための課題がどこにあるのか?どんなものなのか?特定され明確化されることは希である。そこでメンターが必要となるのである。
 メンターの定義が様々あるが、寄り添う、事業成長のための道先案内人、共に考える、などの言葉で形容されている。アイディアを事業化へ昇華させるため、何をすべきか?どんな道筋が考えられるか?起業家と共に考えることが課題を特定することよりも重要となる。つまりは、事業として動き出した際には、ぶつかる壁もその壁がどんなものか特定が可能となる場合が多く、その際にはその壁にどう対処するか詳しく知る者(専門家)に直接の解決策を求めることが効果的であり、まだアイディアレベル、事業として本格的に動き出す前の段階では共に寄り添い考えるメンターが必要となると言える。

4.メンタードリブンモデルはなぜ起業家支援に有効か? ―座学中心型との比較-

 次に、起業家支援にメンタードリブンモデルがなぜ有効か?を考えてみたい。メンタードリブンモデル、メンター主導型の起業支援モデルと解釈できるが、これも特定の定義が存在するものではなく、メンター主導型の対局は何か?から紐解いていく。
 私見であるが、メンター主導型の対局は座学中心型と考える。大企業の部署の如く、マーケティング、財務・会計、人材管理、経営戦略といった企業運営に必要とされる知識・考え方を学びケーススタディなどを通じて実践との整合性を捉え、プログラムの最後に自らのアイディアをそれぞれのテーマで学んだフレームワークや考え方に落とし込み、ビジネスプランを作成、発表し、他社からフィードバックを得ると言うのが一般的な座学中心型の流れである。多くの知識を多面的に得ることが出来る。そのことで、カタカナ連発講師によるベンチャー系のセミナーも理解できるようになる。座学中心型を否定することはできない。支援施策として座学中心型は主流な形式として全国で行われている。
 しかしながら、アイディア段階、進む道がまだ定まらない段階で知識を詰め込まれた場合、私のアイディアでは、これが足らない、まだそれを考える段階ではないと知識習得としては一定の効果はあってもどうもハラ落ちせず、しばらくすると忘れてしまう場合を多く見てきている。まだアイディアの段階では先ずは前に進めてみた方が良い。進めるためには立ち止まって知識を増やすよりは、進む方向を考え、動いてみた方が良い。そうして動き出す後押し・伴走に主眼を置いたものがメンタードリブンモデルとなる。
 加えて、個々のビジネスモデルも多様化し、過去、昨日までのことを土台する知識での対処を超越する様な新型ウイルスの世界的な感染拡大による経済の低迷、生活様式の変化と言った事象にも直面している。そのような状況でも何かを前に進めるため、メンターの役割、メンタードリブンモデルは一層発展すると考えている。


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