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ジャーナルvol.1「地域における起業家教育の心得」

「起業トレンドジャーナル」では、全国の起業家・支援者の方々から、起業に関するテーマでお話いただきます。
vol.1では、徳島県上勝町で「空き家再生+起業家育成」によるまちづくりをされている大西正泰さんから、「地域における起業家教育の心得」をテーマに寄稿いただきました。

大西さんプロフ写真

大西正泰氏
(吉備国際大学社会科学部講師/一般社団法人ソシオデザイン理事)

徳島県出身。教員を13年、起業家教育を軸とした学校改革や、経産省の起業家支援プロジェクトの四国エリア担当など。2006年に教員を辞めて創業。2012年より徳島県上勝町をフィールドにして、起業家育成によるまちづくりを行う。2018年中企庁創業機運醸成賞受賞。
一般社団法人ソシオデザイン https://socio-design.net/


地域における起業家教育の心得

 皆さん、こんにちは。私は、2000年から中高校生向けの起業家教育を、四国・徳島県上勝町で約10年ほど「空き家再生+起業家育成」のまちづくりを行ってきた。その体験から感じたことは、都会も田舎も「地域における起業家教育の心得」は同じということである。「やりたい人がいる」、「やりたいことが速やかにできる環境」、「面白そうねと応援してくれる人」がいる。この3つが重要なポイントである。
 特に、3つに共通し大事なのは、「気持ち」である。「やってみなはれ」「やっちゃえ日産」といった企業理念やキャッチコピー、まちづくりでも徳島・神山町の「やったらええんちゃう」など。資金調達や起業家になるためのノウハウなどは、ネットにも各関係機関にあふれんばかりにあるが、この気持ちの育成がとても大事である。

 では整理してみると、地域で行う起業家教育を行う際の心得は、
1) やりたい人を育てる →「起業家精神」育成教育
2) やりたいことを速やかにできる環境 →起業家を生む「孵化場」づくり
3) 面白そうねと応援する →「起業家応援」教育
の3つにまとめなおせる。

好き、やりたいを育てる「起業家精神」育成

 まず「起業家精神」だが、日常を振り返ると、嫌いなものはきちんと説明できるのに、好きなものを説明するのはとても難しい経験はないだろうか。例えばニンジンやしいたけが嫌いという人は、すぐに「苦い」「おいしくない」とか答えられる。しかし、「好きなタイプ」「好きな趣味」など、聞かれると答えにくい。起業家育成教育で重要なのは「好き」の発掘である。それも、与えられたサービス(ゲームや遊園地)でなく、自分が生み出すもので好きなもの(料理、DIY、歌を作るなど)が育成のポイントである。成熟社会での購買行動は、普及品よりも「この人の作るものが好き。そばに置いておきたい」という感情が非常にキーにある。好き、やりたいという感情を育てるのが、起業家精神育成といっても良い。

起業家を生む「孵化場」づくり

 ということは自然と2)の孵化場づくりとは、「何かを作れるところ、試せるところ」である。私の実践例だと、日替わりでお店にトライできるシェアカフェや工作機械があってものづくりできるファブラボ、挑戦できるインターン、こういった「好きなものを作る」場が大事である。また、試行錯誤のプロセスで、多くの人を巻き込み、対話によって共感してもらえることが、ファンづくりの根幹である。

挑戦を応援する「起業家応援」教育

 こういった場所で、みなさんの挑戦を応援するのが起業家応援教育である。
 基本的に、創業意欲の高い人は自学自習。いま創業支援しないといけない層は、意欲はあっても慎重な人。試行錯誤に時間をかけるタイプである。我々は、そういった試行錯誤に寄り添い、手間隙をかける必要がある。
 そして支援者自身に一番大事なことは、リスク計算して課題点を伝えるのでなく、「すぐやる」「すぐ形にしてみる」こと。この試行錯誤のなかで自学自習のおもしろさを伝える。すると、まだまだ創業は増える可能性が高い。
 最後に、支援者自身が未来に可能性を感じ、ワクワクし、起業する人を応援することが好きな人であること。支援者のみなさま、がんばってください。


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