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そんなことされたら好きになっちゃうよ

前日から、いや数日前から緊張していた。というよりは恐怖を感じていた。

2週間ほど前にそれは決まり、僕は隅々まで同意書に目を通してサインをする。

「最近のは鼻からなんで、そんなに辛くないですよ」

なんて先生は言っていたが、インフルエンザの検査で鼻に綿棒突っ込まれるのめっちゃ痛いから絶対痛いじゃんという語彙力皆無な気持ちで当日を迎えた。

そう、胃カメラである。

精神的なあれで胃の調子がおかしいのかなと僕は思っていたのだが、先生は「あまりにも不調が長いから一回胃カメラやろう」とナンパ師のような軽さで提案してきた。

痛みもそうだが、費用はどのくらいかかるんだ…というお財布への負担も恐れの一端を担っていた。

名前を呼ばれて検査室へと入る。まず血圧を測られた。検査当日は煙草NGだったので「起床したらニコチンで血圧を上げる」ことができず、いつもより低い数値を記録。それから胃を綺麗にする的な謎の飲み物を飲んで(ゲロまずい)ベッドに仰向けになり、両鼻に綿棒で麻酔薬を塗られ、どっちの鼻の方が通りが良いか確認されたので「左ですかね…」と答える。

そしてついに先生が登場して僕は仰向けから横向きへと体位(言い方)を変更。看護師さんがかけてくれたタオルケットの中で軽く丸くなり、先生は躊躇なく胃カメラを鼻にぶち込んできた。

「麻酔してくれてるから大丈夫かな?」と思っていたが、胃カメラが鼻を通過する瞬間は普通に痛かった。その痛みのせいでこれからも更なる痛みが襲ってくるのでは??と不安になる僕を尻目に先生は淡々と胃カメラを突っ込み続け、出力される映像を通してなんか色々と説明してくれたのだが、その日は眼鏡だった僕は斜め上(画面の位置)を向くとレンズから視線が外れてボヤける(僕の視力は0.05とか)ので何にも情報は入ってこなかった。

ベッドの上でタオルケットにくるまった鼻から管を突っ込まれる三十路の男。なんのプレイかな?などと少し惨めな気持ちになる。胃カメラをやってる時の姿を知り合いに見られたら精神的に死ぬなと思った。もうなんか心なしか気分も悪くなってきたし、早く終わってくれという気持ちでいっぱいだった。

そんな僕を支えてくれていたのが看護師のお姉さん(推定34歳くらいの綺麗な人)。ひたすら背中をさすり続ける係(なにそれ)だったのだが、誰かの背中をさすることはあっても(繊細な女性とお付き合いさせてもらうことが多かったので)、自分がさすられることって幼少期まで記憶を戻さないとないんじゃなかろうか。どんだけ奥まで突っ込むの?という胃カメラに対する恐怖に怯える僕を優しく包むような慈愛に満ちた手の温もり。


そんな優しくされたら好きになっちゃうよ!


事前の説明通り胃カメラは5分くらいで終わったと思う。検査後は背中をさする係のお姉さんと最初に血圧測ってくれたお姉さんが優しく声をかけてくれて「これぞホスピタリティ」なんてことを思った。ごめん、ホスピタリティって言ってみたかっただけだ。

結果としては逆流性食道炎だった。胃じゃなかった。食道が悪かった。とりあえず薬を処方してもらい、いつもの薬(鼻炎薬と整腸剤)も出してもらった。検査と薬代を合わせると1万弱。まぁまぁな出費である。年々なにかと医療費でお金が消えていくので健康には気を使っていきたい。

以上、初めての胃カメラレポでした。昨日投稿したやつが割と自分が出てて気恥ずかしくなったのでアホめなテンションの文章を綴りたくなった次第でございます。

胃の調子がおかしいと思っても実は胃じゃなくて食道でした、というのは検査しなかったら分かんなかったと思うので、気になることがある方は一度胃カメラをやってみては?

それでは最後にこの曲を。椎名林檎で「本能」


この文章をお読みになられているということは、最後まで投稿内容に目を通してくださったのですね。ありがとうございます。これからも頑張って投稿します。今後とも、あなたの心のヒモ「ファジーネーブル」をどうぞよろしくお願いします。