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人は自分に似た人間に腹が立つ。

私は子供の頃、7人家族でした。
祖父、祖母、父母、そして私と妹と弟
今にしてみれば、大家族だったと思います。

家の中は祖父中心で回っていて
私の父は養子だったので、祖父と上手くいかず、家に寄り付かない人でした。
私は父に見た目がそっくりで、

そのせいでしょうか、

祖父から、私は自分では怒られる意味もわからず、いつも殴られていました。
裸足で近所のおばちゃんの家に逃げ込んだこともあったりして。

祖母が倒れた時、ただそばにいたというだけで、私は祖父にボコボコに殴られました。

祖父が亡くなってから聞いたのですが、

母は
「いつか私がキレていつか祖父を刺すんじゃないか、と思うほどひどかった」
と言っていました。

ある時、友達にその話をして、
「今じゃ、虐待やろ」って私が言うと、

彼女は
「自分に似ているからじゃないの」
と言いました。

私は「私が祖父に何も似ているところなんてないと思うけど、
私が父親に顔が似てたからじゃないの」
と思ったのですが、

しかし、よく思い出してみると、

たまに、本当にたまに祖父が機嫌が良い時に私の手を取って
「お前はわしと一緒の手相してるな」とか、

たまに、一緒にお風呂に入ってくれたりすると、
「お前はおじいちゃんと同じところにホクロがあるな」
とか言うのです。

あげく、妹が
「お姉ちゃんの足って、おじいちゃんの足とそっくり」
と言いました。

私の顔は祖父とウマの合わない父と、「ハンコ」と言われるほど似ているのに。

祖父が亡くなる前、私は入院している祖父のもとへお見舞いに行きました。
「一回くらい顔出さんと、あんたのことやから、私のところに怨んででてくるやろ」
って、言ってしまって、

今考えれば、本当に憎たらしい孫です。

祖父は
「あいつ、あんなこと言って帰って行った、孫なんか可愛がるもんじゃない」
って、母に言ったらしいです。

心ではそんなこと絶対にそんなこと思ってないくせに、
私のことわかってるくせに、相変わらず憎たらしいこと言うおじいや、

祖父が亡くなった時、自分でもわからないくらい私は涙が止まりませんでした。

私は若年性の緑内障で、20年近く治療をしています。
祖父も緑内障で視野が半分欠けていました。
祖父の死因は肺が硬化して、そのせいで肺の血管が切れ、血を吐いての窒息死。
そして私は会社の健康診断で、肺の硬化ということで、経過観察との診断を受けました。

いらんとこだけ、遺伝、、

友達は
「あんたのその性格もさ、おじいちゃん譲りかもな」
「あんたのおじいちゃん、あんた見てると自分見てるみたいと思って腹が立ってたんじゃないの」

と、言いました。

自分と似ている人間に腹が立つ、そんなことがあるのでしょうか?

私はそんなに祖父に似ていたんでしょうか?

父は「罪滅ぼし」とか言って、毎日、仏壇の前でお経をあげています。

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