いつの間にかの、友達以上
手が、二度触れた。
隣を歩く君の手の甲が、腕の振りに合わせて私の手と擦れあう。
そんなことには、何にも言わずに会話を進める二人。
君は今、何を思ったんだろう。
おかしい。
こんなこと、これまでなかったのに。
いつの間にか君との距離が近づいていて、私は、触れた手で自分の気持ちの動きを知る。
きっと、並べた肩は知らず知らずのうちに近づいていたんだ。
どうしてだろう、こんな風に思うなんて想像してなかったのに、どこか納得している自分がいる。
君の優しさや素直さを、昔から知っていたからかな。
骨張った手や、まくった腕の筋を目を追う私がいる。
そんなの今まで気にしたことなんてないのに。
どうしてこんなに急に、男の人だって意識してしまうの。
おかしい。今ごろこんな風に思うなんて。
今だからこう思うのかもしれないけれど。
私たち、友達で、これからもずっと友達のはずなのに。
だって今日も違う人のもとに帰るんだから。
少しずつ近づいた距離は、まだ体温を感じないくらい。
だけど、触れてみたいと思わせられる。
君がどんな顔するのか見てみたい。
一瞬だけ触れた手の熱はもう忘れてしまった。
ただ触れたことだけが、頭の中を巡る。
あぁ、本当に、おかしい。
私、こんな女じゃないはずなのに。
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