サンキュー神様(mf記)

『茨にもきっと花咲く』という、さだまさしの歌がある。
若者の旅立ちへ年長者からはなむけの言葉を贈る。それは平坦な道ではないに違いない。茨の道であってもそこにはきっと花が咲くだろう、そう歌われている。

一方『サンキュー神様』という歌は、むしろ同世代、やはり平坦ではないだろう道へと旅立つ仲間か親友かに贈る歌のようだ。
茨の道を行くのかもしれないが挑戦する人がいて、応援する人がいて、その誰もが祝福されるに相応しくて、それを神に感謝するんだ、とそんなふうに聞こえる。

「大丈夫」という言葉の裏にある、ささやかな不安や神様に対してサンキューという言葉を使う軽さなどに若者らしい清々しさを感じる。
「あの雷に花束を」
「最後の背中を押させてくれて」
これらの歌詞のすぐあとにサンキューという言葉があるのが心地よく響く。

この歌は、菅田将暉と中村倫也のふたりが歌っている。
元々あった歌に手を加えて新たに作詞をしたそうだ。コロナ禍でくすぶっている時にみんなにエールを送る思いで作ったとのこと。
配信リリースにあたって、YouTubeでふたりが語っている動画もある(そこで菅田は、サンキューという言葉にはいくばくかの皮肉も込められているとも言っている)
МVには松坂桃李も参加している。

それを踏まえた上で聴くと、言葉の端々に響くものがある。
でも、コロナ禍と切り離して聴いても、響くものがある。

自分はもう若者ではないが、ここで背中を押す側、押される側、どちらのスタンスでも居られたら、と思う。
大抵はこの年になれば見守る側にいるものだ。でも、この先の年老いた人生こそ茨の道かもしれない。無謀な挑戦をする可能性だってなくはない。

「大丈夫だよな?」ってこそっと呟きながら 「サンキュー」って空を仰ぎながら生きて行くのがいい。
一言も「がんばれ」と言ってないけど、がんばろうかなって思えてくる歌。

「僕らの手の中きっと光はあるよ」

そんな風に思ってさえいれば、たとえ短い未来でも輝くだろう。

※余談①
この歌を意外な人がYouTubeで『歌ってみた』をやっていたのでそれもセットで味わうのも乙。何とガチャピンである。

※余談②
岸田奈美のエッセイの中に『神戸で神様に会った話』というのがある。この話のようにそれを神様と認識出来たなら、きっと厳しい道程もしっかり歩んで行けるだろうと思う。神様にもいろいろある。


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