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はじまりのとき@忘備録

わたくしごとで、申し訳ないですが、お付き合いただければ幸いです。

一昨日になってしまいましたが、私は60代になってしまいました。還暦です。以前のような歳に感じるじたばたはなくなっていましたが、何か区切りをつけないと思う気持ちに逆らえませんでした。
今までの自分を振り帰ってもみましたが、これといった懐かしいものが表れてこず…。心の目の前に開かったのは、真っ白い染みひとつない壁のような紙のようなものだけでした。最近物忘れがひどくなっているとは思ったものの、全く何も出て来ないというのも、空しい…なんて思いながら。私には今しかないのだな…夢や希望といったものも特にないのですから、そう思うことにしました。

それでも還暦のハードルを何とか楽しく跨ごうと、今回は3つの力を借りようと思い立ちました。一つは髪を切り、子どもの頃の髪型に戻りました。二つめは、カメラを購入しました。フルサイズミラーレスカメラと35mmF1.4の広角レンズ。安価なものしか買えない私、もう全て散財して、すっからかんです。三つ目が、見出し写真の中の写真の撮影者、写真家の川内倫子さんの写真展に行く事です。

川内倫子さんの写真を知ったのは最近で、何枚かすごく魅かれたものがあり、どんな写真家なのかを知りたくなっていきました。写真展に行ったからといって、その人となり、作品の全てに触れることは到底できないのですが、少し近くに寄ってみたくなったのです。
写真展は、彼女の生まれ育った滋賀県での開催でした。

写真は言うまでもなく素晴らしかったです。それは書ききれない感想があります。動画の展示もいくつかありました。何も無い白い部屋、大きな壁2面に写し出された世界に、バカみたいに私は呆然と立ってて動く事を忘れていました。この時に、すべてのものはいつも動いているんだなって感じが湧き上がってきて、その息づかいに耳を澄まして、私はなぜ静止画を撮るのだろう…と自問自答していました。だったら動画を撮るか…? いや撮らないでしょう………なんで…
止まった瞬間に美しさを感じている自分もいるな……と思ってちょっとぞっとしたり…。それから様々考えてしまいましたが、結論を出す必要もないのだから、撮り続ければきっと感じとれるだろうな…そう思う事いにしました。

それから、出身地での展示ということで、常設展の一部にも、川内さんの展示がありました。そちらは、家族を撮ったもの、滋賀県の障がい者施設「やまなみ工房」の様子を撮った写真や動画が展示されていました。その作品を通して作者の目を何度も感じました。そう見えたんだね…すごいな…。物理的に見えたというより、そう心に映っていたんだね…って共感して、うるっと涙。そして人を撮ってみたいなと始めて思いました。

私は写真展に写真を観にいったのだけど、写真は見てこなかった気がしています。見たのは写真が好きで写真を通して自分の感じたものを表現しているステキな人、その人の目。
私には芸術的な価値や技術の巧妙さは、よく分からないから仕方ないのだけど、私を一瞬どこかへ連れてってしまう程の圧倒的な世界観を感じ、その余韻と微かな蟬の声(展示室で聞こえてきました)が未だに残っています。
なんて失礼な私…川内さんごめんなさい。

川内倫子さん、その人は、何でも自分の目で撮るな…、何でも撮るけど、撮ってるものはひとつなのだな…、そう感じて帰ってきました。

今日は、私の「はじまりのとき」としました。と言っても何か変わったことが始まるわけでもないのだけど、時間と空間とを越えた世界を感じられたらな…そんな妄想を抱きながら、とぼとぼ生きれたら…写真が撮れたら…それがいいな…と思っています。特に何も変わってないようです。笑

最後まで読んでくださった方に、感謝します。これで気が済みました。
ありがとう(^^)
ちょっと恥ずかしくなってきたのだけど、アップします。笑

※見出しの写真は、屋外に展示されていて、展示室の休憩スペースのガラス張りの壁の向こうに、表れました。木の枝と野外の空気と写真のコラボが清々しくて、何枚か撮りました。その中の一番プレーンなものです。


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