人生の自覚

みんなは人生を自覚したことはあるだろうか。またはその瞬間を覚えているだろうか。
自分はこの地球上に存在していて、自分には感情や思考があって、自分の選択によって物事が左右することを自覚するあの感じ。俺はあるし、覚えている。

幼稚園の年中さんの時、お風呂から上がって右乳首を拭いた時にそのことに気づいた。衝撃だった。人生を自覚した瞬間、両足が地面についている感触、手と乳首に触れているタオルの感触、お風呂から上がった寒さがダイレクトに脳に伝達してしばらく立ち尽くした。そして、これからはこの感覚は自分次第で様々な形に変化することを知って、大いに盛り上がった。

この感覚は最近になってまた蘇って来た。それは会社でミスをした瞬間である。
提出物を忘れていた時、要綱の文章で見逃していたものがあったときなど、時間よ戻ってくれ!と思った時に、俺は人生を自覚する。どうあったって過去に戻れないことを知り、絶望する。過去への羨望からなのかはわからないが、人生を自覚した瞬間、聴覚は敏感になり、視界の彩度は増す。五感の情報量が増えて頭はうまく動かなくなる。

かなり昔のことなのに覚えているあの感覚が数週間、数日単位で起こるのだから刺激的なことこの上ない。惜しむべくは、この感覚に陥るときはネガティブな時だということ。幼稚園の時に感じた、全てが希望に見えたあの自覚はなく、全てが絶望に見えてしまうこの自覚はなんとも耐え難いものである。

日頃から自分の人生に責任を持って行動すれば諦めや対策の感情で心の均衡を保つことができるのかもしれないが、いかんせん俺は俺の人生がかなり他人事なのでどうしても同情する。普通に友達の人生の方が大事。

俺が俺自身を友達のように扱えば変わるのかもしれないが、こんなノンデリと友達にはあんましなりたくない。
だから早く、俺の人生を誰かに管理してもらえるくらいお金持ちになりたい。
宝くじ当たってくれー。自分で買ったことないけど

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