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Photo by
hi3tika
夏の終わり
夕暮れ時の
ひぐらしの声
熟れたトマトと
揺れる風鈴
クワガタの散歩と
蝉の合唱
ハイビスカスと
かき氷
汗だくのキミと
冷やしそうめん
スケッチブックに描かれた
夏の日は
やけにキラキラ輝いていて
不意打ちに
切なさがこみ上げる
8月の終わり
はしゃぎ疲れた子どもたちが
豆腐屋のラッパの声を合図に
帰路に着いた頃
夏は静かに身支度を整え
この世に
さよならを告げた
ひまわりやアゲハチョウ
つぐみやほたるは
はじめのうち、過ぎ去った夏に
気がつかないで
呑気に
夏のうたを口ずさんていた
そうしてしばらくして
唐突な北風の訪問に
慌てふためく
いつの間に
夏は去っていったのだろう
この世は
あっという間なのだ
鈴虫が
秋の宵をうたっていた
見上げた夜空には
満月が浮かんで
スケッチブックに
収まりきらない
刹那のふたりが
笑っていた
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