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【詩】蜜柑

笑い声が生まれる
たくさんの人の笑い声が
煮立った鍋の湯気とともに
あたたかい部屋を満たすように

彼があのときなんて言ったのか
それは忘れたが・・・
とにかくとぼけたことさ
うどんが鍋に溶けてしまうようなことさ

笑い声が生まれる
手を叩く人もいる
上を向く人も下を向く人も
お腹いたいのかなあ

その一瞬 ぼくの視力は失われ
世界がオレンジ色になる
オレンジの中で人々は溶け合う
酸っぱい顔は、していない

汁が目に入ったんだ
心がシュワシュワ弾けているんだ
きみ、お腹の調子どうだい?

笑いは収まっても
テーブルの上にみかんはある

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