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43. 人生における、もったいない精神

 断捨離が得意です。
「もったいないからとっておく」ということを、あまりしません。
洋服も、2年着なければ捨てるか売ると決めていますし、昔の恋人から貰ったものも、別れた直後に速攻で捨てるという薄情な人間です。(一番要らんものだ)

しかしここ数年、「もったいない」「せっかくだから」という思考が癖になりつつあります。

せっかく生きているのに
せっかくやりたいことがあるのに
せっかく行きたい場所があるのに

「せっかく、せっかく」と、何かと理由をつけて「諦めること」を、もったいないと感じてしまう自分がいるんです。

「過去は変えられない」という言葉が、最近はポジティブなものに変換されつつある世の中だな、と感じます。

たとえば、「過去は変えられないけれど、未来と自分は変えられる」「過去におきた出来事は変えられないが、その意味(解釈)は変えられる」など。

過去の後悔や失敗、挫折を活かそうとする心意義や、未来を自分の手で造ろうとする意欲。素直に、素敵だなと思います。

しかし、素敵だなと感じる一方で、捻くれた自分はこうも思ってしまうんです。「まぁでも、結局過去は変えられないよね」、と。

次に続く言葉を、いくら前向きなものに変換させたからといって、過去に起きた出来事そのものを変えることはできません。それ故、振り返ると、数年前までの私は、後悔だらけの人生を送っていたように感じます。

自分に自信がなかったこともあり、何をするにも常に人目を気にしていました。そのせいか、自分のやりたいことが何なのかよく分からないほど、だらだら適当に生きていた気がします。その時から今に至るまで引きずってきた後悔といえば、‟小説を書き続けてこなかった”こと。
書いてはやめてを繰り返してはいましが、この十年を振り返ると、書いていなかった期間の方が圧倒的に長いです。書いていた頃も、「書籍化できるといいなー」くらいの淡い期待を抱くだけで、今ほど真剣には取り組んではいなかったと思います。

だけど、この「書籍化したい」という思いは、ずーーーーっと頭の片隅に居座り続けていました。それなのに、私は書き続けるという選択をせず、書いていた時も、大して本気を出してはいませんでした。今より、時間も体力もあったはずなのに。

「書籍化なんて、どうせ無理だし」
やる前から、書く前から、そう諦めていたんです。

あの時間、もったいなかったなぁと、今でも時折考えます。
10年間、ずっと書き続けていれば、今より文章力も表現力も上がっていたことでしょう。持ち込みや新人賞への応募をせずとも、ネット時代のこの世の中、もしかしてもしかすると、何かの拍子に作品がバズってひょんなことから書籍化なんて可能性もあったかもしれません。

はぁ、もったいない。何千、いや、何万という時間を無駄にしてしまった。あのだらだらしていた時間で、できることは多かったはずなのに。

そう、どれだけ悔やんでも、やっぱり過去は変えられません。過ぎた時間は戻せません。どう抗えど、時間は自分の意思に関係なく、勝手に進んでいくものです。

だからというわけではありませんが、自分への罪滅ぼしも兼ねて、今は常に全力を出しているつもりです。書くこと、やりたこと、叶えたいこと、そのすべてから目を背けず、正面から向き合っています。

すると不思議なことに、似たような考えを持つ人と関わる機会が増えました。

 私は副業でシナリオライターをしており、そのうちの案件をいただいている1社は企業です。その代表のうちの1人は、家庭環境含め若い時にすごく苦労をされたようで、そういった境遇も相まってか、言葉ひとつとっても人としての深みがある方だなと、常々感じています。

「人生は一度きり」
「やりたいことはすぐやろう」
「迷ったら自分が成長できる道を選ぶ」
「落ち込んでる暇があったら次のことを考える」

おこがましいかもしれませんが、ご自身のことを「執念みたいな人生だ」と語る代表にはすごく共感しますし、そのような人の元で働くことのできている自分を、今は誇りに思います。私も今は、執念のような人生を歩んでいるつもりです。

もちろん、その時の状況や環境、立場によって、すぐに行動できない瞬間はたくさんあると思います。それでも、変えられない過去を悔やむくらいなら、やりたいことはやりたいと思ったその日にやった方がいい。そう思うんです。

 時間は有限です。もったいないからとっておくことはできません。過ぎた時間も日々も過去も、戻すことは不可能です。
それなのに、命の時間は人によって違います。自分に残された時間があとどれくらいか、知る術もありません。

この歳にして、それをやっと理解できたからでしょうか。「せっかく生きているんだから」といった理由付けをして、即行動をすることが増えました。時間の関係でやりたいことができない時も、諦めるのではなく、どうしたらできるかを考えて考えて、工夫して挑むようになりました。どうしても何かを犠牲にしなければならない瞬間もありますが、それでも、後悔をすることは昔より大分減った気がします。

 断捨離は得意です。
だけど、経験や体験、知識だけは、コツコツと積みあげて自分の糧にしていきたい。そのために、今ある時間だけは出し惜しみせず、有意義に存分に、自分のやりたいことに使っていこうと思います。

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