フシギドライバー(ナナフシ✖️ドライバー)
19時を過ぎた頃彼女からLINEでメッセージが届いた。
「申し訳ないんだけど今からうちに来てくれる?さっきから微かにギギッって音が聞こえてくるんだけどその原因がどうしても分からなくて……」
僕は即OKとスタンプを返した。
20時過ぎに到着すると、彼女は「良かった!」と大きな安堵のため息をついた。
「絶対音感がある私には例え小さな音でも原因不明だと本当に気になっちゃって……」
「うん、わかってる。気にしないで」僕はそう言うと彼女の頭を撫でた。
「ところで急いで来たから飲み物を忘れたんだ。喉が乾いたから何かくれる?」
そう言うと彼女は「勿論よ」と笑って僕に背を向ける格好でキッチンに立った。
「もしかして夕飯まだだったんじゃない?簡単に作るから」
「あぁ、頼むよ」
僕はそう返答すると早速リビングを慎重に見てまわった。
(原因はやはりこれか……)
彼女が大切にしている観葉植物の枝の一部に取り付けていた、ナナフシを模した隠しカメラが落ちそうになっており、僕はそれを手に取るとドライバーできゅっとネジを閉めなおした。
そして、スマホで映像の映り具合を確認すると、爽やかな笑顔を作り適当な理由を彼女に告げた──。
(了)
※ナナフシは昆虫の名前
このお話はこちらの企画に参加しています✏️✨
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?