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“部室”の日常 - (6) おじいちゃんたちの健康法

いつもの飲み屋には、20歳になりたての若い人もいるけれど、戦前生まれのおじいちゃん、おばあちゃんも割といる。この店の不思議なところは、なぜか世代を問わずみんなが、「部室」に来る人と普通に話をするところ。

その1:わいさん

おじいちゃんの中でも、お店に来る頻度がとても高いわいさん。
地元で商売を続けて40年。今も現役で、多くの人からの人望が厚い飲兵衛。いつも近所のお風呂屋さんに行った帰りに店に寄って、いつものやつを頼んで、気持ちよさそうにタバコを吸っている。

そんなわいさんが、お酒を飲んでいない日があった。店にいるのに、なぜかノンアルコールビールを飲んでいる。
聞くと、検査があったからだという。まだ検査の前日とかはわかるのだけど、検査をしたのは3日前で、「お医者さんに、検査後5日間はお酒は禁止って言われたから」と、頑なに飲まないでいる。いつもあれだけ飲んでるのに!

「医者がだめと言ったことは守る。これからもちゃんとお酒を飲むためにね」と、周りがおいしそうにお酒を飲む中で、絶対に飲まなかった。
しかし飲み屋に行くのはやめないところがわいさんらしい。

その2:じぇいさん

別の日、わいさんよりも年上、83歳のじぇいさんが隣に座った。わいさんより飲み屋に来る頻度は低いけど、私もかなわないくらい飲む量と滞在時間がすごい。

じぇいさんも普段は仕事をしている。そういえば、ここにくるおじいちゃんたちってみんな仕事してる。年金だけで暮らしてる人がいない。

じぇいさんは朝が早い。4時半に起きるそうだ。そのあと、ゆっくりお風呂に入り、自分で焼き魚を焼いて、インスタントの味噌汁とパックご飯で朝ごはんを食べるそうだ。味噌汁とかご飯は、「前は自分で作ってたけど、最近のはすごくおいしくなったから、レトルトでOK」と言っていた。

「朝ごはんはすごく大事だよ、ちゃんと食べたほうがいいよ」と私に言った。生活リズムが整っているって、きっと大事なんだろうな。

その3:けいさん

また別の日に隣に座ったおじさんがいた。最近よく見かけていたけど、話すのは初めてだった。
「いやー、今日も仕事帰りよ。20000歩歩いたよ」と言う彼はとても元気そうだし、仕事も忙しそうだった。

「いろんな仕事やってきた(=経営してきた)けどね、まー、仕事するって大変だよね、今までいろいろあったよ」と、自己紹介がてら、過去に自分がやってきた会社の話をいろいろしてくれた。
そして今は、とにかくあちこちを歩き回る仕事をしているらしく、そんなわけで今日は20000歩、と言っていた。

日本酒をものすごい勢いで飲む。
私と話している間に3合くらい飲み終わってたんじゃなかろうか。

へえー、私より少し年上くらいかな、と話を聞きながら思っていたら、「で、この前83歳になってね、」
と自然に言われ、「はぁ!?」と思わず言ってしまった。50代にしか見えなかった。この若さはなんなんだ!まあそういえば、50代にしては人生経験が豊富だなあとは思ったが…。

だいたい、20000歩歩いてるってどういうこと?まだ40代のわたし、毎日20000歩歩けるか…?

3人に共通していること

「お酒を飲む」ということを、一時的な楽しみとかのレベルではなく、ライフワークにしているということ。
多分こういう人たちは、お酒を飲むために生きてるというか、お酒を飲むことで生きていることを実感している。

だから、ものすごく体の健康に気を遣っている。
お酒は体によろしくないというイメージは、誰にでもあると思う。だけど、お酒を飲まないことが心の健康にめちゃめちゃよくない人たちもいる。お酒を通じて人と交流したり、いろんなことを考えたり、そもそも飲み代のためにちゃんと働いていることが、人生を支えている。

年齢を重ねるほど、健康に対する気遣いはシビアになっていく。
そんな中で日々働いて、日々飲み、日々大笑いしている。
3人とも、自立していてすごくかっこいいと思う!

次回は、自立つながりで、一人でがんばる同世代女性たちの話。

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