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【連載第8回】必須の要素「双方向ライブ授業」のリアル

山口たく(やまぐち・たく)1972年生まれ。都内大手名門進学塾やプロの家庭教師として、15年以上に渡り御三家中や最難関国公私立高校受験を指導。
その後、理想の教育を求めてニュージーランドに教育移住し、Ties. JNZ(Terra International Education Services. JNZ)を設立。これまでに国内外で教えた生徒は数千人にのぼる。
現在は『望む場所で、望む仕事をしながら、世界に貢献できる喜びを実感できる未来を与えられる教育』をモットーに、日本人留学生や現地在住日本人子女に指導を行っている。また、10年近い海外子育て・教育の経験を活かし、『ニュージーランド教育&国際バカロレア受験コンサルタント』としてさまざまなメディアに出、教育相談はもちろんのこと、留学や国際バカロレア教育に関するコンサルティングを行っている。2児の父。 

オンライン学習で絶対にはずせないコンテンツとは

ここからはオンライン学習で絶対に外せないコンテンツと私が考えているライブ授業について、ニュージーランドで実践されている内容もご紹介しながら詳しくお話ししていきたいと思います。

ライブ授業と言っても様々な形があります。それぞれの超短所にも触れていきますので、どんなシステムがお子さんに会うのかを考えながら読んでいただけたらと思っています。  

ライブ授業というと、どんなイメージをお持ちでしょうか?教室にいる先生が画面に出てきて、いつものように授業をしているシーンを想像されるでしょうか。もちろんそんな授業もあると思いますが、正直それは決して質の高いオンライン授業とは言えません。

そこでまず、こちらニュージーランドで行われているライブ授業の様子を一つご紹介することで、今お持ちのイメージを少し変えていただけたらと思います。  

ライブ授業で使われるシステム

ライブ授業は、Google meetと呼ばれるシステムを使って行われます。ニュージーランドではGoogle Schoolと呼ばれる、Googleのシステムを包括的に使ってオンライン教育をする学校が多くあります。

そこではライブ授業はこのGoogle meetを使うことが多いです。生徒には事前にメールで授業リンクが送られてきます。授業開始時間になると生徒はそれをクリックするだけで簡単に参加できます。

授業ではカメラとマイクの双方を使用することが求められ、授業開始後点呼で出席確認が行われます。

ここで先生は生徒の名前を呼ぶだけでなく、一言ずつ生徒に様子を問いかけ、授業参加前のアイスブレイクも実施されます。ニュージーランドではオンライン授業では対面授業以上に生徒のメンタルに配慮しなければいけないことが教師の間で共有されているため、こうした声がけは積極的に行われるのです。  

授業が始まると、先生は画面上にスライドを出し、それをメインコンテンツとして授業を進めていきます。まず前回の授業内容を、生徒に説明させることで復習し、それを元にして新しい内容の説明に移ります。説明も一方的な講義形式ではなく、生徒を積極的に指名して説明してもらったり、生徒に発問して考えさせたりしながら、受け身にならないような工夫がなされています。  

また、ライブ授業では、黒板と教科書しかない授業では決して真似ができないコンテンツも提供してくれます。例えば地理の授業中、全く知らない街の話題が出てきたとしましょう。そんな時通常の教室の授業でできることは、せいぜい地図帳で場所を確認することくらいですよね。先生のトーク力があればもう少し関心を引くことができるかもしれませんが、そこが限界でしょう。しかしこれがオンラインだと、どんなことができると思いますか。  

例えばこんな授業が行われます

例えばニュージーランドのライブ授業では、こんなことが行なわれていました。まず先生が画面を共有してGoogle マップで場所を表示し、衛星写真に切り替えて拡大します。するとそこには地形だけでなく、街の様子がリアルタイムで表示されます。ストリートビューにすれば、その街の擬似ドライブも可能。そうこうするうち、生徒の一人がこの街の紹介動画を発見してリンクを共有。先生はそれを自分のパソコンから配信し、数分間一緒にその動画を視聴します。ここまでで約5分くらい。ちょっと寄り道をしましたが、生徒の中にはこの街のイメージが鮮明に作り出されることでしょう。  

この学習と、テキストと地図帳を片手に、教室で先生が黒板で説明するだけの授業、どちらが子供にとって有益でしょうか。

これで終わりではありません。ライブ授業の続きをもう少し一緒に見ていきましょう。授業が進むと、先生は以前予告しておいた生徒を数人指名して、プレゼンを指示します。指名された生徒は自分のパソコンの画面を共有し、スライドを使って発表していきます。このプレゼンの間、他の生徒は聞きながら発表内容の疑問点を、どんどんチャットに記入していきます。そして発表が終わると、一定時間を使ってこの質問に答えていきます。さらにそれに対する質疑応答が行われ、最後に先生がフィードバックを行います。 

また、エッセイ(小論文・作文)の授業では、生徒の答案を先生が画面共有し、みんなの前で添削していきます。ここでも先生の一方的な解説ではなく、他の生徒の意見がどんどん反映されていきます。生徒間で議論が行われることもあり、こんな時は先生は司会役(ファシリテーター)に徹することが多いものです。  

いかがでしょうか。ライブ授業のいきいきとした躍動感、少しは伝わるでしょうか。これを小学生が受ける受験塾の授業に置き換えたら、こんな感じになるでしょう。  

さあ、授業がスタート!

授業時間が近づくと、子供は端末(タブレットやパソコン)を起動して送られてきたメールの授業リンクをクリックします。すると画面にはすでに待機していた先生の顔が映り、声をかけられます。

私ならこんな感じで声がけ。「〇〇君、こんにちは。ちゃんと顔見えてる?声もクリアかな?あれっ、ちょっと疲れてる顔してるね。今日学校でなんかあった?」こうして先生が声をかけている間にも、続々と他の生徒が入ってきて、ギャラリービュー(全員の顔が見えるモード)画面はたちまちクラスメイトの顔でいっぱいになります。授業までの時間は、先生が発言していなければ、生徒同士で話もできることでしょう。  

授業が始まると、先生は授業で使うスライドを出して説明を始めます。授業では必要に応じて写真や動画が利用され、はっきりとしたイメージを持ちながら先生の話を聴く事ができます。

算数なら、板書ではイメージしにくい立体図形も、動画なら簡単に3Dモデルを表示でき、空間認識能力がまだ十分に発達していな生徒でも理解しやすいでしょう。

国語では時代背景の古い作品の読解時に、その時代の動画を見せれば、たちまち理解が深まります。

理科の実験はもちろん、社会の歴史や地理でも動画は大活躍します。こうした動画活用の授業は、今後ARなどのテクノロジーが進化すれば、さらに学習効率を挙げていくことでしょう。  

さらにスライドは後ほどデータで送ってもらえるので、生徒は板書を写す必要はありません。そのため先生の説明に集中する事ができ、必要に応じて先生の説明をメモすることも容易になります。またチャットによる質問が可能なので、引っ込み思案な生徒も安心して質問できるのもいいですね。  

先生によっては、子供たち同士でのディスカッションも活用するかもしれません。そんな時はオンラインのクラスを小グループに分ける機能を使えば簡単。

数人のグループに分かれて話し合い、先生は順に各ルームを回ってアドバイスします。最後にまた同じクラスに戻り、話し合った内容を発表し合うことも可能です。  

授業中に子供たちに自分の答えを発表してもらいたい時は、オンラインホワイトボードの出番です。オンラインクラスの全員が見られるホワイトボードに、先生が指名した生徒がどんどん書き込んでいき、他の生徒がそれに対してコメントを言いながら進めていけます。  

こう見るとすでに、対面授業を超えている気がするのは私だけでしょうか。このようのオンライン上で行うライブ授業は、工夫次第では非常に学習効果の高い授業が可能になるのです。  

さてここまでで、ライブ授業の概要をご理解いただけましたでしょうか。続いては実際に、メインコンテンツとなるであろうライブ授業と動画授業のコンテンツの選び方について説明したいと思います。

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