拙い鎮恋歌

告白してフラれようと思った。あなたの言葉と声で傷つきたかった。
それはとても贅沢なこと。ありがたいこと。そう、私は知っていた。
でも、あなたも知っていたんだね。同時に「やっぱりね」と思った。
あなたはそうよね。だから好きだったのよ。

「だから好き」より「だけど好き」がいいんだって聞いたことがあるけれど、私はいつだって「だから好き」でしかなかった。だってあなたを好きな理由は「あなただから」だったから。言葉も行動も雰囲気も、あなたの一部。それを対象に「だけど好き」なんて考えもしなかった。どうしたってあなたが好きだった。

私の言動の中心は数年間あなただった。「彼ならどうするかな」「これをしたら彼はどう思うだろう」って。その言動の結果、私は「私の好きな私」になれた。だからとても感謝している。

好きでいさせてくれてありがとう。まぁ私が勝手に好きだっただけなんだけど、それでも、ありがとう。
あなたを見かけるたびに高鳴った胸の鼓動は、それはそれは美しいものだった。私の中にこんなに美しいものがあったのかと驚いた。
時々話しかけてくれたことがどれほど私を嬉しくさせたか、知らないのでしょうね。
「和香ならできる~。何を心配するんやし。ヤバいのは俺やwww」って言ってくれたの、きっと忘れてるんだろうなぁ。その言葉の温かさに涙が出たんだよ。

なんかね、笑っちゃうくらい好きです。なんかしらんけど、大好き。
私の日々を優しく彩ってくれた。
ただ好きで、本当にただただ大好きで。大切な存在だったの。信じられないかもしれないけど、ほんとにほんとに、好きだったの。

こんなに好きになるなんて思わなかった。

それと同時に、「私は彼のことを本当に好きなのだろうか」とも思う。
何それって感じだよね。情けないことに、時々わからなくなるのよ。
でもやっぱり、私の言動の中心はあなただから、たぶんすっごく好きなんだろうな。

あなたが雨に打たれているとき、傘を差し掛けても許される存在になりたかった。なりたかったよー。

しあわせにね。苦しくならないで。私は、あなたをしあわせにすることはできないけれど、あなたのしあわせを願うことはできる。願っても、いいよね?それくらいは許してね。
あなたが自分に優しくできなくなったときに、私が優しく接したかった。それだけ。押しつけてごめんね。優しくしてほしい人に優しくしてもらってね。

あなたと、あなたの大切な人たちが、穏やかな日々を過ごせますように。


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