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シリーズ:コロナと激動の消費者心理【4-6月期調査⑤】withコロナの生活スタイルの定着とともにスマホ利用時間も高止まりか?

企画・製作 株式会社矢野経済研究所 未来企画室

このシリーズでは、WEBアンケート定点観測調査(年4回実施)をもとに、日本の消費者の消費・心理・生活がコロナ禍でどのように変化したのかについて、気になるトピックを調査ごとにお届けしています。

当シリーズ投稿の趣旨や出典元の消費者調査につきましては、初回の記事でご紹介しておりますのでご覧ください。

<シリーズ説明>

調査概要
世代区分

緊急事態宣言の影響

スマホやタブレットを利用している時間」の四半期前(3か月前)からの増減と見通しを、「増えた」「変わらない」「減った」の3段階で調査し、時間の使い方のDI値を算出した。下図は世代別の結果を示している。

スマホやタブレットを利用している時間の増減と見通し【世代別】(n=3600)

「スマホやタブレットを利用している時間」のDI値は、昨年から今回の4-6月期まで、一貫して50を上回り続けている。コロナ発生以降、ずっとスマホ等利用時間が増加傾向にあったことを示している。しかし、様々なタイミングで、その増加傾向の程度は、上下している。その上下動は各世代とも、程度に差はあれ、おおよそ同じような動きとなっている。コロナの感染状況は、世代に関わらず、スマホ等利用時間に対しだいたい同じような影響を与えていると考えられる。

スマホ等利用時間の増加傾向が最も強まったのは、昨年4-6月期だった。コロナが発生し、初めての緊急事態宣言が出され、人々の緊張感が最も高まった時期だ。このとき、飲み会ができなくなり、会社は積極的にテレワーク等を導入し、在宅している時間が急激に増加した。この影響により、スマホ等利用時間が大きく増加したものとみられる。

 逆に、スマホ等利用時間の増加傾向が最も弱まったのは、昨年10-12月期だ。この時期は緊急事態宣言や感染拡大の波もなく、GoToトラベルキャンペーンが実施されるなど、人々の外出が活発になった時期だ。この時期には、他の調査項目「外出している時間」の調査でDI値が最も高くなった。以上のことからやはり、在宅時間の増加が、スマホ等利用時間の増加に直結していると考えられるだろう。

今後のスマホ等利用時間の推移 

ところで、スマホ等利用時間のDI値は、最も低下した昨年10-12月期でも、50の値を下回ることはなかった。増加傾向が弱まることはあっても、減少する兆しは一向に見せていないということだ。在宅時間についても同様に、増加傾向が弱まることはあっても、減少傾向に転じることはなかった。よって、在宅時間が高止まりすることにより、スマホ等利用時間も高止まりの状況が続いていると考えられる。

 今年の1-3月期は、2回目の緊急事態宣言の影響で、スマホ等利用時間の増加傾向が強まった。そして、今回調査の4-6月期は、そこから少し、増加傾向が弱まっている。2回目の緊急事態宣言の影響と比較して3回目は、外出等の制限が緩くなっていると感じられ、外出時間が若干増加し、スマホ等利用時間の増加傾向も比較的弱まったものとみられる。

 今回、スマホ等利用時間のDI値の低下は、昨年の10-12月期の程度と比べて勢いをなくしている。今年の7-9月期は、さらなる低下が見通されているが、それでも50を下回るのには時間がかかりそうだ。在宅時間が長時間化している、withコロナの生活様式が定着し、その影響でスマホ等利用時間が高止まりを続けている。この傾向は、今後一定程度続くだろう。もしかすると、スマホ等利用時間は、コロナ禍を経て構造的に増加する影響を受けたかもしれない。今後これ以上増加することは見込めないが、今の程度が一定期間持続するという状況に、今後とも対応していく必要があるだろう。

出典:「コロナ禍の消費者心理・消費・生活を捉える定点調査2021」

※本シリーズの投稿内容はすべて執筆者の個人的な見解を示すものであり、執筆者が所属する団体等を代表する意見ではありません。また、投稿内容はいかなる投資を勧誘もしくは誘引するものではなく、また、一切の投資の助言あるいはその代替をするものではなく、また、資格を要する助言を行うものではありません。

今春、矢野経済研究所 未来企画室は新プロジェクトを始動しました。 『未来を数字に』をコンセプトに、独自の切り口で、今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。