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シリーズ:コロナと激動の消費者心理【11月調査①】GoToトラベルの効果で国内旅行需要は全回復!しかし...

企画・製作 株式会社矢野経済研究所 未来企画室

このシリーズでは、コロナで揺れ動く日本の消費者の心理がどのように変化していくのかを把握するために実施中の、webアンケート定点観測調査(2020年度中計4回実施)から、その動向について気になるトピックをお届けしています。

当シリーズ投稿の趣旨出典元の消費者調査につきましては、初回の記事でご紹介しておりますのでご覧ください。<シリーズ説明>

【11月調査①】GoToトラベルの効果で国内旅行需要は全回復!しかし...

今回は3回目の調査となる11月調査(11-12月期調査)から気になるトピックを拾っていきます。

下記は11月調査の実施要項です。

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国内旅行需要は第2波以前まで回復

3回目の調査となる、今回の11月調査では、コロナ禍での国内旅行の需要が、ひとまずは第二波以前まで全回復したことが明らかになりました。

下図は、各四半期に国内旅行に行った人の割合と、次の四半期に行く予定の人の割合を示したもので、実線が実際に行った人の割合を示しており、破線が行く予定の人の割合を示しています。数値は、各世代の割合の平均です。

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今回の11月調査(10-12月期)では、実際に国内旅行に行った人の割合は13.3%となり、前期の7-9月期に、10-12月期の旅行を予定していた人の割合である9.3%を4.0ポイント上回る結果となりました。

見通しを上回った結果は、政府による国内旅行推進支援策の「GoToトラベル」の効果によるものと考えられます。

もともと、緊急事態宣言が解除された直後の6月に実施した4-6月期調査では、解除とともに感染拡大の収束が期待され、次期の7-9月期に13.3%の実施予定が見通されていました。

しかし、感染拡大第2波が到来し、実際の7-9月期に実施した人の割合はそこから6.1ポイント低下した、7.2%にとどまる結果となっていました。

つまり、第2波到来以前の6月に、コロナが収束したら国内旅行に行きたいと思っていた人の割合である13.3%の実施率まで、10-12月期にようやく戻ったということです。

このことから、国内旅行需要は、第2波以前の状態まで戻ったと考えられます。

さらに旅行需要は伸びるか?GoToトラベルと第3波

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今回の10-12月期調査での、来年2021年1-3月期の国内旅行実施予定率は13.6%となっており、10-12月期の実施率の13.3%とそれほど変わらない結果となっています。

このことから、おしなべてこのコロナ禍でも国内旅行に行きたいと考える人の割合は、だいたい13%前後であろうと推測されます。

したがって、GoToの効果はおおよそ現状が最大限である、と考えるのが妥当でしょう。さらに効果が出るためには、感染状況の改善が必須となると考えられます。

しかし、ご存知の通り、11月末日現在、第3波の拡大が懸念されており、消費者の旅行需要に冷や水を浴びせるかたちとなっています。

こうしたことから、来年21年1-3月期に見通されている国内旅行実施予定率13.6%の達成は、今のところ難しいのではないかと考えられます。

出典:Withコロナ社会の消費者心理の変化を捉える定点調査2020

※本シリーズの投稿内容はすべて執筆者の個人的な見解を示すものであり、執筆者が所属する団体等を代表する意見ではありません。また、投稿内容はいかなる投資を勧誘もしくは誘引するものではなく、また、一切の投資の助言あるいはその代替をするものではなく、また、資格を要する助言を行うものではありません。


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