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流通改革の先にあるもの

「稼げる書店へ 本の流通改革」
7月25日、朝日新聞の記事見出しである。

書籍の売り上げ低迷、書店数の減少と、出版業界は斜陽だと叫ばれるようになって久しい。
そんななか、蔦屋書店などを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、紀伊國屋書店、日販の3社が「ブックセラーズ&カンパニー」なる合併会社を設立した。出版社と仕入れ価格を交渉し、これまでの蓄積データから「売れる本」を予測し、返品を減らすという。さらに、返品率の減少だけではなく書店の粗利率増加も見込めるとのことだ。

薄利多売が前提で成り立っていた流通システムが、目に見えて大きな歪みを引き起こしている今、新たな取り組みは必要だ。現在参画を表明しているのは大手出版社6社だという。
「従来の取次会社にブックセラーズ社が成り代わっただけ」とはならず、この「ブックセラーズ社」の取り組みが出版業界全体に広がることを期待したい。
新システムが、体力とノウハウのある大手出版社、大手チェーン書店に限定され、「開かれているようで開かれていない」形になることは避けなければいけない。

また、書籍流通のシステムを整えるだけでは、出版業界に未来はないのではないか。
読者から著者・出版社・書店への信頼をどう取り戻すか。これも大きな課題だ。この著者が書く本と生涯付き合っていきたい、この出版社、この書店を応援したい。これらの思いに真摯に応えていかないことには、業界の先細りは止まらないだろう。

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