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理念と行動指針

皆さん、こんにちは。

未来出版研究会事務局長の編集者・Kです。

今日は、未来出版研究会の理念、そして行動指針について皆さんにお伝えします。

原稿を打っていて、立ち上げ時の心境を思い出したので、少しだけ記しておきます。お付き合いください。

そもそも未来出版研究会とは、どんな会であるべきか。昨年6月にこの会を立ち上げてから、私たちが考え続けてきたことでした。
初回の会合に出席してくださった皆さんの意見を聞きながら、私たちは以下の方針でこの未来出版研究会を推進していくことにしました。

□未来出版研究会の方針□
50年後の出版業界、および本のあり方について話し合う場とする。業界に長く身を置く人から成功体験がない若手まであらゆる階層の出版人を巻き込み、既成概念にとらわれない今後の出版界のあり方を模索していく。儲けることを前提に、業界への不満や愚痴だけに留まらない建設的な研究会の運営をめざす。

私たちは、本を通して人々が豊かな教養を身に着けたり、思考を深め、人格を磨いたりすることを活動の主眼としています。

「儲けることを前提に」と明文化したのは、掲げる理念の下で目標を達成していくためには、継続して事業を行っていくことが欠かせまないからです。我々は、我々のやり方で人々に価値を提供し、願う世界の実現を目指したい、そう考えています。だからこそ、「儲けることを前提に」という表現をあえて文字にしています。

しかし、現実問題として、出版業界にはしきたりや悪しき慣習が根付いていることも事実です。老舗企業が既得権をにぎってしまい、新規参入を許さない、そんな不条理な側面もあります。

そこで、未来出版研究会では、老若男女、肩書、業界経験歴などで線引きなど設けず、門外漢も新人もベテランも、どんな方でも受け入れることにしました。

研究会に参加してくださっているひとは20人ほどで、まだまだ活動が安定しているわけではありません。それでも、あらゆる立場にある方々の考えを吸収し、健全な出版業界への貢献ができるよう模索しています。

そして、ただいたずらに業界の愚痴などをいうだけの浅はかな会にするのは避けようと、「愚痴をいうだけにとどまらない建設的な研究会の運営をめざす」ことを明文化しました。仕事でもそうだと思いますが、人間、油断するとすぐに、近しい人同士で愚痴を言い合いがちです。たとえそこに、なんの進歩性がないことを頭でわかっていても、うっかり惰性に流されてしまうものなのです。

愚痴は何ものも生まない。それどころか、言った者を毒し、不利益しか生まないのですから、健全な議論の場を目指そうということにしました。

そのために、未来出版研究会では誰でも分け隔てなく受け入れ、仲間になってもらい、協同してよりよい状況を作っていこうという方針を決めたのであります。(興味のある方はぜひご連絡ください)

<未来出版研究会の理念>

話が脱線してしまいました。

理念についてお話します。

私たち未来出版研究会は、活動の理念を以下のように定めました。

『本を通して現代人に深い精神文化を養う機会を提供し、正しき文明の発展に寄与する』

現代は、文明先行型の社会だといえます。簡単に言えば、先に誰かがつくった文明を与えられ、そこに追従する人が増える事で文化を醸成していく、ということです。

アップル社によって「iPhone」が開発されたことで、スマートフォンが文化として根付いたこともその代表だと言えるでしょう。

誤解しないで頂きたいのですが、決してこのことが「悪い」と言いたいのではないということです。「iPhone」の普及は、大変世の中を便利なものに変えましたし、それによって人類が成し得ることの可能性も大いに広がりました。

ですが問題は、与えられたものを与えられたままにしか使えず、考えることを放棄してしまっている人々が増えてしまったことにあります。

さまざまな情報が瞬時に手に入る社会は一見便利になったように思えて、実は人々から精神の修養や、考える機会を奪ってしまったとも考えられます。

僕はサラリーマンですが、通勤の電車内でそのことを実感しています。多くの人がスマホにくぎ付け状態なのです。

仕事のための調べものをするひともいるでしょう。しかし、大半の方がゲームやネットサーフィンに明け暮れているように思います。

「個人の自由だ」「仕事じゃない時間に好きなことをして何が悪い」と思う方も多いでしょう。それは全く間違っていません。それでも、本当にそれが本人にとって幸せなことなのか考え直してほしいのです。

ちょっと乱暴な言い分かもしれませんが、たとえば小難しい哲学書や歴史書を読むことで感じ得る精神の充実を、自分を養う”栄養分”とするなら、ゲームやネットサーフィンによって得られるものは、よく言って“栄養ドリンク”です。瞬間起爆剤、つまり、その時は精神を安らげたり、希望を見いだす活力にはなっても、本質的な成長や向上はなく、あとあと疲労となって跳ね返ってくるだけのまやかし、と言えるのではないでしょうか。

だからといって、すべての人が読書一辺倒なんて状況になったら、それはそれで窮屈な社会になるかもしれません。大事なのは、どちらかに偏った世界ではなく、上手に使い分けられる智慧を一人一人がもつということです。その智慧は、与えられた文明を享受している間は得ることはできないのだと思います。

これらは社会のほんの一部を切り取った話ですが、多くの人の実感に訴え得る事実ではないでしょうか。

ですから、未来出版研究会では、与えられた文明を享受することだけで満足するのではなく、まず、深い精神文化を読書によって養うことで、その時々に本当に必要な文明を、自ら築いていく力を機会を提供することを、理念に掲げることにしました。

これはとても抽象的で、なんだかつかみどころがないような話に聞こえるかもしれません。それでも、この言葉を掲げ、読書によって多くの人が智慧をもって世の中を見た時、何が正しいかを見定められるようになればと願っています。

<行動指針>

「そんな大上段なことを抱えているが具体的には何をするんだ」という声が聞こえてきそうです。理念を掲げたからには、それを実現するための指針が必要です。

そこで私たちは以下のような行動指針を掲げました。

<行動指針>
1.私たちは、精神性や哲学・伝統を重んじる心からこそ正しき文明が築かれると信じ、現代人の精神文化向上に資する本をあらゆる形で提供します。
2.私たちは、とめどなく溢れる情報やモノに拘束された現代人が、読書を通して真に自立した精神や行動意欲をもてるよう活動を展開し、世界を変えていきます。
3.私たちは、読書による知の探究と自己の研鑽に怠らず努め、社会に価値を提供し続ける集団であり続けます。

智慧をもって世の中を見るためには、「見える眼」を持たなければなりません。「見える眼」を持ち合わせていない人には、いくら見ようとしても見えないことがあるのです。

そして、智慧の眼をひらくためには、学ばなければなりません。何に学ぶのか。これまで人類が築き上げてきた歴史、その中に見る精神性や哲学、伝統にです。いまを好きに自由に生きたいと臨む人こそ、過去に学ぶべきであると思っています。

とりわけ、歴史を変えるような偉業を成し遂げてきた人、人々に慕われていた人の生き様の中には、現代人が学ぶべき多くのことが潜んでいます。それを、自ら学び、自らが掴み取っていくことが、次の時代の文化をつくる力になるのではないかと信じています。

だからこそ、まずは未来出版研究会で大事だと思う精神性、歴史、宗教、哲学などを本を通して提供していきたい。その思いを一文目に掲げました。

二文目は、私たちが提供した本を読んだ読者が、次の文化・文明を築くための志を新たにするための支援です。

三文目は、我々未来出版研究会自身の行動目標であります。理念を掲げて活動していく私たち自身こそ、常に考え続ける人間でなければならないと考えているからです。人間に生まれた以上、その生をまっとうし、人間というものを探求していく心をいつも忘れず、謙虚に努めなければならないと考えています。

長くなりましたが、上記の理念、行動指針の下、未来出版研究会はこれから活動を推進していきます。

今は手探りな状況ですが、お読み頂き、少しでも共感することがありましたら、ぜひ私たちと一緒に、未来を変える活動を起こしましょう。

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