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フューチャーリテラシー :「可能性の未来」を読み解くために

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本マガジンでは、2022/12/12に出版した、『フューチャーリテラシー Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』についての情報を掲…
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#書籍紹介

書籍『フューチャーリテラシー 』関連情報リスト

Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために 本マガジンは、2022年12月12日に出版を契機にリスタートいたしました。 書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』に関連する情報を掲載していきます。 【記事】1)『フューチャーリテラシー』出版記念トークイベント開催(12/20) 【読書のポイント】1月)宇宙・生命・脳の進化に見る、ネットワーク連鎖の入れ子構造

生命のネットワークと「脳」の共進化

1.微生物のコミュニティ38億年前,核のない単細胞の細菌(古細菌,真正細菌)が誕生した。最も単純な生命である細菌はコロニーをつくり,細菌間のコミュニケーションにより協調して環境に適応しながら生存競争を生きのびたのだった。 ●細胞間での最初の情報交換=遺伝子交換 生命初のコミュニケーションは,細菌間での遺伝子の交換だ。細菌は,細胞分裂により増え続ける。細胞核が存在しないため,細菌間での遺伝子の交換が発生しやすく短期間に遺伝子が伝搬する。遺伝子の交換は細菌の接触による交換だけ

2020年から描く30年の未来編 :ダイジェスト

本書は、「未来を読み解いて、コンセプトを紡ぎだす」方法を提案することが主題。 本節では、本書で提案する手法を使って30年後の未来を読み解いたコンセプト・サンプルを提案する。 4.1 では現在の常識的とされる未来を示し、4.2でそれをインプットとして未来を読み解いたコンセプト・サンプルを提示する。導出したコンセプトの是非が議論の対象ではなくそれを導くプロセスが重要でだ。 もし4.2で示したコンセプト・サンプルが読者にとって既知の常識であるならば、それを4.1に組み込んであら

未来創造につながるコミュニケーションの歴史編:ダイジェスト

「未来」を読み解くために、なぜ過去の歴史を読み解く必要があるのだろう。 1)「未来」は「過去」からの流れの上にある 未来を読み解くときには現在の注目する事象と変化があり、それが起きた要因は過去に、そしてそれが未来へとつながる。可能性の未来を読み解くには、それにつながる過去からの道筋を読み解くことが近道となる。 2)ネットワークの基本的なパターンをつかむ 物理は化学の、化学は生命の、生命は社会のネットワークを構築してプラットフォームとなり、プラットフォームの上に新たなネ

「仮想世界経済」の誕生

-- 30年後の未来を読み解く第三弾 :物語を紡ぐ(準備編) --  我々が常識と考えている科学も、論理的な思考法も、経済も、ここ数百年のできごとにすぎない。我々は、常識にとらわれやすく、かつその常識をいとも簡単に塗り替えてしまう。  ゲームや一部のマニアのためと考えられていた「仮想世界」が、「リアル世界」の生活や仕事の一部となろうとしている。  2021年10月28日Facebookは社名を「メタ」に変え、ビジネス向けの「仮想世界」構築に本腰をいれることを宣言した。ヒ

非線形思考を描く筆とパレット:メタプロセッシング

  -- 30年後の未来を読み解く第二弾:コンセプト編集 --  印刷時代の末期を迎え、スタートからゴールまでシーケンシャルに論理を並べる思考法が変わりつつある。 メモ:スケーラブルでコンポーザブル、コネクテッドであり、機械学習(ML)を活用したものになるだろう  浅い思考のモノたちが、「情報世界」をパートナーとした独自の思考方法を身につけていく。  直感と仮説によりゴール近傍にあたりをつけてスタートして、ゴール周辺を縦横無尽に行き来しながらしだいにゴールのイメージを

連想探索を支援する:コネクティブ・ブレイン

  -- 30年後の未来を読み解く第一弾:コンセプト編集 --  ヒトは通信網や交通網などのコミュニケーション手段を使ってコミュニケーション能力を高めることにより、集団の中からより良い文化を発見し、学び、創造し、時空を越えて普及して社会進化のサイクルを回す。  情報世界においてヒトは、膨大なコンテンツ群の中から情報流通サービスというコミュニケーション手段を用いて「価値あるコンテンツ」を探し閲覧する。  ヒトと文化の共進化のサイクルを次のステップに進めるあらたなコミュニケ

「仮想世界」経済から「マルチバース」経済循環へ

-- 30年後の未来を読み解く第三弾 :物語を紡ぐ(物語編) -- ●「仮想世界」のエコノミー ゲームやクリエイター、eスポーツのための「仮想世界」のインタフェースが、スマホやPC、ゲーム機に代わるとき、仕事と生活を時分割マルチタスクで「仮想世界」に配分する人たちが登場する。労働、スポーツ、会話、観劇、クリエイティブ、ゲーム、リアルでの活動が「仮想世界」に移行していく。 ○ミクロ・マクロ・ネットワークで表現する○仮想世界での欲求と価値 ヒトは欲求の充足を求めて働き、遊び、

そして未来を織り続ける

「フューチャー・リテラシー」最終章 「未来を読み解く」際に重視している視点が3つある。 1)「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の視点  主にアイデア編集やコンセプト編集を行う際のチェックリストとして利用する。特に、フィードバックループ、動的適応の特性が出現するネットワークに注目する。 2)「ヒトと文化、集団とコミュニケーションの共進化」 の視点  ヒトがヒトとして進化してきたのは、外界に適応する文化を集団内に記憶する能力によるところが大きい。時代を変える新しい技術・サ

課題設定:次世代の思考を支援する

  -- 30年後の未来を読み解く第二弾:課題設定 --  白板にむかって文字を書こうとしたときに、小学生レベルの漢字が書けなくなった経験をしたことはないだろうか。紙の上で書かなくなった習慣が、あれほど訓練した漢字の記憶を消し去ってしまった。ヒトはメディアに能力をアウトソースするとともに、自身の能力を失い続けてきた。  そして今、「書く言葉」と活版印刷が構築してきたシーケンシャルに熟考する論理的な思考を手放しつつある。 ●浅い思考のモノたち いつの間にか長い文章を書いた

集団、文化、ヒトの共進化

集団内で技術や社会習慣などの文化を記憶・学習する能力を得たことがサルからヒトへの分岐点となる。文化を老人の知恵や道具として維持し継承する文化の記憶は、集団としての新しい生命進化の手段となっていく。 ●ヒトと文化の共進化ヒトの想像が創造するものは道具・技術だけではない、調理方法や言語、獲物や脅威に対する知識、狩猟や調理などのノウハウ、集団を円滑に運用するための社会習慣や社会規範、宗教、芸術があり、これらの集団で獲得し継承するものを総称して「文化」と呼ぶ。 ヒトと文化の遺伝子

実世界と虚像が共進化する双子:デジタルツイン(2050年)

次節で「未来を読み解く」ための前提・背景として、各企業などで計画されている30年後の未来を概観する。 -------------------------------------------------------- Google検索、iPhone、Google Earth、 ストリートビュー、ポケモンGOが示した道筋の延長に、今後数十年の壮大な未来が計画されている。超高速ネットワークの上に多層に重なって広がるバーチャル・ネットワークをベースとして、実空間におおいかぶさり巨

1992年から描く未来:社会変化に適応するバーチャル・オフィス/コ・ワーキング

------------------------------------------------------ 社会変化に適応するバーチャル・オフィス/コ・ワーキング ●背景: 携帯電話の人口普及率が1.4%[1]、日本で初めてインターネット・サービス・プロバイダがサービスを開始した1992年。インターネットの利用は大学や研究機関がほとんどで、静止画を扱うにも四苦八苦していた時代。 ●お題:   ⇒到達フェーズ:社内資料  オフィス研究を行っていたチームメンバーの各研究を統