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フューチャーリテラシー :「可能性の未来」を読み解くために

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本マガジンでは、2022/12/12に出版した、『フューチャーリテラシー Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』についての情報を掲…
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書籍『フューチャーリテラシー 』関連情報リスト

Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために 本マガジンは、2022年12月12日に出版を契機にリスタートいたしました。 書籍『フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』に関連する情報を掲載していきます。 【記事】1)『フューチャーリテラシー』出版記念トークイベント開催(12/20) 【読書のポイント】1月)宇宙・生命・脳の進化に見る、ネットワーク連鎖の入れ子構造

7.コンピュータ小史

1.歯車で稼働する苦難のオートマタヒトの営みが複雑化するにともない,高速に正しく演算することへの需要 (数学・物理学・天文学などの科学演算,収穫を予測し,正しい航路を導き,商業を営む必要 )が計算装置へのチャレンジをうみだす。 ●時代の必要が歯車計算機をつくらせる 農業によって巨大化した王国を統治する必要が,初期の計算装置をつくらせる。納税を計算し,それを予測するための河川の測量,天体観測,そして巨大建造物を建築するために小石や算木を並べ,計算結果を数表に記録し,算盤「ア

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデル

 まず、「部分」があり、それらが相互に作用しあって「全体」の情報が作られ、それが再び「部分」に影響をあたえる。部分と全体との創発的な関係を通じて自在に変化しつつ、全体の秩序を形成してゆく。  今回は、「未来を読み解く」ために、筆者が使っている思考モデルである、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルを解説する。モデルの使い方については、別章にて紹介する。 ●「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルの概要◯構成要素とネットワーク特性 「ミクロ・マクロ・ネットワーク」は、未来の物

アイデアを紡ぐアイデア・プロセッシング: シナリオ・物語編集

------------------------------------- アイデア・プロセッシング: -------------------------------------- Step1: 課題抽出・課題設定 Step2: 情報散策 ・情報散策 ・本の散策 ・本に意見を求める読書 Step3: グループ編集:情報の素材化、分類と階層化 Step4: シナリオ・物語編集 アイデア・プロセッシング用語解説: ・情報素材: 段落などのを単位とする文章で文節、区分けしたテキス

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」で考えるトマトの未来

 「ミクロ・マクロ・ネットワーク」は、未来のサービスや技術を読み解くときに「喩え」て考える際に利用するモデルだ。「トマト」への適用事例で使い方を概観する。  「トマト」生産は今後どのように変わっていくのだろうか、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」を使ったコンセプト発案の例を簡単に紹介する。アウトプットはサービス・コンセプトだ。 ●トマトは誰とどんな話しをしたいのか? 【ミクロなコミュニケーション】  トマトは誰と話しをしたいのか?  ・同じ畑の仲間のトマト  ・野菜たち

●生物の実験場となったカンブリア爆発はなぜ起こったのか

 宇宙と地球と生命の相互作用が大量絶滅と突然変異のうねりをつくり、数十種だった大型の生物がいっきに1万種以上に広がる「カンブリア爆発」が起こった。 ●急激な生命進化の3つのパターン  急激な環境変化に伴う生命進化には3つのパターンがある[1]。  カンブリア紀直前の1.5億年間に3つのパターンのすべてが絡み合う急激な環境変化が微生物を襲った。 ●7~6億年前: 全球凍結と超大陸の分裂が引き金となる生命の大進化 ■全球凍結  銀河衝突による超新星爆発の影響で磁場が弱体化し

古代都市を循環させる貨幣情報ネットワーク

 集落から古代都市へと人口を広げたとき、人々の分業をつないだのは言葉や文字によるコミュニケーション、そして新たな収穫の分配の仕組みだった。 集落の拡大と食糧の分配 ヒトが狩猟採集を家族から集落で協力して行うようになったとき、家族のために持ち帰る獲物は集落の共有するものとなった。やがて農耕生活により集落の規模が大きくなり分業が広がるようになると、首長が調停者となり作物を集め再配分する習慣、争いを避け友好を深めるための部族間での贈り物を授受する習慣が生まれる。 都市国家を支え

国家の形成に向けた、専門分業と集落間の生存競争

 ヒトはコミュニケーションによりつながり、分業して助け合い仕事を効率化するコミュニティ=分業ネットワークの形成を生存戦略とする。仕事が複雑化するにつれて分業が進み、コミュニケーションの技術と文化を編みだし、周囲の統合と専門分業のリズムを刻みながら巨大化してゆく。 ●家族社会の形成 :440万年前~ 無毛の顔と白目により表情をゆたかにして感情と情愛を交換するコミュニケーションにより、育児と採集を分業して助け合う家族を形成する。 ●草原への進出と集団防衛 :370万年前~ や

1万年前になぜ農耕民が誕生したのか

 小規模な狩猟採集民が農耕生活に移行し、人口を巨大化していったのは、気候変動などにより定住生活に誘われ、そこから抜け出せなくなった定住化と農耕の罠にはまったためだった。 ●気候変動と農耕コミュニティの形成 【豊かな狩猟採集民】 1万5000年前までのヒトは、0~20人程度の小集団で獲物を追って移動する狩猟採集により生活していた。最終氷期の1万4000年前頃、気候が湿潤になるにつれて、森がそばにあり海・河川・湖が近く天然の動植物が豊富な地域に定住し、周囲の獲物と植物を採集す

オンラインRPGという自由物語世界(1997年)

●とある冒険者の日々 冒険者を夢見るエルフの少女がいた、名をClariceという。厳つい甲冑に身を固めた戦士たちが、鍛錬のために危険な地下のカタコンベに潜り戦っている中を、場違いな緑の布服と弓という軽装で死人(シビト)たちを狩っていた。なぜ重装をしないのかと問われると、汗臭くて重い甲冑が嫌いなのだという。  いつものように狩りをしていると、呪文とともに突然ゲートが開き中から存在するはずのない上位死霊魔法使いリッチーが現れた。プレイヤー狩りをする盗賊たちの仕業だ。逃げ惑う戦士

知的生産のための道具:ヒトとコンピュータの共生

 ディスプレイとキーボードをつないで「コンピュータと対話する」ことが笑われる時代に「ヒトとコンピュータの共生」の実現に向けたチャレンジはじまる。 ヒトとコンピュータの共生[1] ソ連のスプートニック号打ち上げ成功(1957年)を契機に、1958年NASA(アメリカ航空宇宙局)とARPA(アメリカ国防高等研究計画局)が設立され、アメリカの科学技術を大きく加速する。ARPAには、リックライダー(1962年)、エンゲルバート(1962年)、アランケイ(1966年)らが集結し、タイ

知的生産のための道具への道:記憶の拡張装置Memex(メメックス)

 1945年終戦の年、ENIAC完成の前年、計算に電子コンピュータを使うことすら確信のないとき、コンピュータを「思考のための道具」に導く衝撃的な論文が発表される。 ●われわれが思考するごとく(As We May Think)[1] 研究開発局の局長として、6千人以上のアメリカ人科学者の管理にあたっていたヴァネヴァー・ブッシュ(Vannevar Bush)は、大戦という局面において重点化すべき課題を的確に見極め、それを革新する技術・技術者を見いだす。一方で、重要な成果が大量の

エジソンの光がコンピュータとヒトの未来を灯す

 計算機の演算速度と精度の加速に連動して社会構造や道具の複雑度が加速し、相互作用の螺旋にのって近代社会が急激に変化する。 ●真空管が電子機械の扉をあける エジソンの電球実験(1883年)から生まれたフレミングの二極真空管(1904年)、次いで電子スイッチや増幅器(アンプ)のもととなるフォレストの三極真空管(1906年)が電子機械の扉をあけた。  ・ホレリスのパンチカード式集計装置(1890年)をIBMが受け継ぎ(1911年創業)データ処理入力の標準方式として広め、  ・ベ

正確な計算を行う機械:苦悩の歯車コンピュータ

 ヒトの営みが複雑化するに伴い、高速に、正しく演算することの需要 -- 数学・物理学・天文学などの科学演算、収穫を予測し、正しい航路を導き、商業を営む必要 --が、計算装置を生み出した。 歯車で稼働する苦難のオートマタ  農業によって巨大化した王国を統治する必要が、初期の計算装置を創らせる。納税を計算し、それを予測するための河川の測量、天体観測、また巨大建造物を建築するために小石や算木を並べ、計算結果を数表として使い、さらに算盤「アバカス(ソロバン)」が使われる。以降、長き