メイデイ、メイデイ! 米財務省、FRB緊急融資プログラム延長せず 未使用資金の返却要請

 今朝のニュースですが、これは深刻な事態を引き起こしかねないと思います。これまでのアメリカの株式市場は、3月以降、政府の財政支出とFRBの金融緩和(利下げ+公社債買い入れによる量的緩和)で、上昇を続けてきました。9月から10月にかけて株式市場がもみ合ったのも、議会での追加経済対策の交渉が膠着したことが原因で、軟調な展開でした。大統領選挙が終わったことでいったん政治的リスクが消えたことで、若干センチメントは上がっていました。コロナ・ワクチンに関する報道もセンチメントを押し上げる効果はあったと思いますが、最も資本市場が期待しているのは、早く議会で追加経済対策をまとめてほしいことです。たとえ支出金額が大きくなったとしても、国債の増発で対応し、その時長期金利が上昇したとしても、それはFRBが国債の購入額を増やすことで対応できます。パウエル議長も、ことあるたびに、追加の経済対策の必要性をほのめかしてきました。FRBからすれば、財政支出をこうしてくれとは政治的に言えません。FRBにできることは限られているからです。クレジット市場でも特に、ハイ・イールドやレバレッジド・ローンが戻ってきたのも、全てまだ使っていないかもしれませんが今ムニューチンが引き上げようとしているこのプログラムがあったからです。今この資金を引き上げたら12月に期末が迫っている米銀行は、クレジットの売却かヘッジをしないといけません。今晩のクレジット市場も心配です。
 ムニューチン財務長官が、このタイミングこのような発言をしたことは、ある意味確信犯なのかもしれません。議会での話し合いが進まず、業を煮やしてFRBから返してもらった予算も使って、議会において民主党と交渉しようとしているのか、もしくは、株価を調整させて議員が焦ったところで、経済対策を早急にまとめようとしているのかもしれません。真意がどうであれ、ムニューチン財務長官の行動は、株式市場にとっても非常に危険です。来週にかけて、5~10%下げても不思議ではないと思います。株価指数の先物市場とリスクの最も高いクレジット市場(ETFなら、BDCSとBIZD)には要注目です。
 今回のムニューチン爆弾の投下により、米議会が早急に経済対策パッケージをまとめてくれることを祈るばかりです。

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