運命だった人③
気持ちが落ち着くまで数日かかった。
運命だった人との再会。
これ書いてる今も、胸焼けがするくらいだ、吐きそう。
緊張している。
まずは、あの日のことから話そう。
運命だった彼から明日飲む?と突然連絡があった週末。本当は予定があったけど、行ける!と答えてしまった。
この日を何年も待ち望んでいたはずなのに、想像しては虚しくなっていたのに、
突然やってきたらやってきたで、全然心の準備なんてできていなくて。
駆け引きの”か”の字もないくらい素直に返事してしまって。
しまった、と思った。もう少し可愛く返事したかった。
それからは、今まで連絡が取れなかったのが嘘かのように、すんなりと翌日会うことが決まり、当日になった。
電車の中では、行ったらいなかった、とか、ドッキリで彼の友達もいて笑われてるんじゃないか、とか、嫌なことを色々と想像してしまった。
「19時、渋谷駅で。」
それしか待ち合わせの情報がなかった。
どこにいるかもわからない。
ああ、会えないのかもしれないとも思った。
「渋谷駅のどこにいる?」
と、連絡が来て、居場所を伝えて。
探していないふりをして、すごく周りを探していて。
少し経った19時15分、向こうから見慣れた、ずっと会いたかった彼が来た。
なにも変わっていなかった。
変わっていないことが嬉しかった。
久しぶりに会ったら、好きじゃなくなっているかもよ?と何度も友達に言われた。
でも、好きだった。
笑った顔も、私のことを名前で呼んでくれないところも、好きなところも嫌いなところも、全部。
好きなままの彼だった。
ご飯を食べて、昔の思い出が蘇って、気持ちもより鮮明に思い出してしまった。
まあ、忘れたことなんてないのだけど。
あの頃よりわたしは、すこし大人になっていて、変わってない彼を
”子供だな”
なんて思う瞬間もあった。
5年という時間はあまりにも大きすぎた。
高校生だった時より、ちょっとだけ余裕もできた私。
好意を隠すこともできるようになったし、自分をチュッとだけ可愛く見せる方法だって身につけた。
そんなの、効かない相手だってわかってるのに。
そんなこんなで、久しぶりの再会、数時間のご飯を終えて解散した。
また会おうね、なんて言葉を交わして。
あの時間が嘘だったみたいに、
「今日はありがとう、気をつけて帰ってね」
のLINEには今も既読がついていない。
本当に、夢だったのかもしれない。
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