見出し画像

卒制展に向けた奮闘記|パンフレット編

ムサビの博士を卒業しまして、4月に研究発表展(通称、卒制展)が開催されます。私が展示会を行うのは、人生で二度目です。一度目は、3年前のムサビの修士の修了制作展でした。博士課程の学生として美大に3年在籍しましたが、経験を重ねられておらず、今回の博士の卒制展が二度目の展示となります。

ノンアーティストとして人生の大半を過ごしてきた私が、卒制展に向けて試行錯誤している様子を奮闘記として少しご紹介していきたいと思います。

まずは、案内パンフレット(ポスター)編です。

当初の気持ち

ムサビの博士の卒制展は、卒業後に個展開催となるという慣習を知ったのは昨年の12月のことでした。学位取得が確定していることが条件であるため、博士は毎年1月に全体で開催される卒制展に展示することはできないということでした。

学位取得が確定した3月11日に、大学側の卒制展に向けた打ち合わせを行いました。大学からは「個展開催のため、展示会の案内も自主制作しないといけません。テキスト文と画像を送ってもらったらホームページに載せますね」と言われます。

いつも選ばれし者が作っている案内パンフレットの画像を私が作るなんて、、想像できない、と感じて、テキスト文のみにしよう、と決めたのでした。(3月11日)

手を動かし何かを作る

案内パンフレットの画像を作るつもりは特にないまま、note(前回の投稿)で卒業のご報告を書き始めました。4月15日からの卒制展の宣伝をのせることを思い立ち、それがきっかけで、アイキャッチ画像は案内画像のようなものにしようと決め、作ることにします。
学位取得のご報告を鮮度高く行いたかったため、ありものの椅子の写真に、文字を載せて、ものの30分ほどで完成させます。

第一号案の誕生

第一号案


※タイトルは元々「アートで培う美とタンジブル」でした

作成したものの、あくまでもnoteのアイキャッチ画像に過ぎず、案内パンフレットにする気持ちはまだ湧いていません。(3月16日)

観る人の気持ちを考え始める

自身のつながりの知り合いやフォロワーの皆さまに卒制展を案内するため、ホームページに展示会に関するpostを行います。
そこで、自身のホームページにも上記の画像を貼り付けていたところ、3日後にスマホ問題に気づきます。スマホで見た際に横型だと文字が小さく、非効率な見せ方になっていることに気づきます。
ホームページに訪れて頂いた方にとって、画面いっぱいに大きく見える方が良いと考え、縦型サイズで作り直すことに決めます。

文字サイズや太さ等も調整し、スマホでも見やすいことを意識して修正します。

第二号案の誕生

第二号案

ここまでの成長は、観てもらうユーザの視点で画像を修正するに至った点です。この時点で一旦満足します。(3月22日)

見えないお客さまを想像する

ほぼほぼ第二号案で満足していた中、卒制展を広く案内するため、Peatixに載せることにします。Peatixのアイキャッチ画像を作ることになり、大きな問題に気づきます。これまでの案だと、椅子の研究に見えてしまうということです。タイトルも元々「アートで培う美とタンジブル」だったため、この案内ではビジネスパーソンの方の目には止まらないと判断し、抜本的に変えることにしました。

ビジネス界隈の方の目にも止まるように、タイトルを「美とタンジブルによるイノベーションの創出」へと変更します。他の画像をPeatixで参照し、顔写真を載せて安心感を少々。顔に加えて椅子の写真はtoo muchと考え、椅子はやめることします、そのため背景画像について再考します。

朝5時に目が覚め、シナプスをイメージした画像が良いのでは、と発想が降りてきて、ベッドにて横になったままAdobestockで「シナプス」と検索して、いくつかをお気に入りに保存し、6時ごろから二度寝してアイデアも寝かせます。

※制作した椅子は「synapstoolシナプスツール」という名前なので、ピンときたわけです。

あとは、画像やテキストを置いて、何度も修正を重ねていくことで、自分が美しいと思うところで手を止めます。

第三号案の誕生

第三号案

ここまでの成長は、見えないユーザを想像し、自身が伝えたいターゲットユーザーである、イノベーションに携わる方やビジネスパーソンの方の受け取り方を想像したことでした。(3月22日)

ようやく芽生えた案内画像を作りたい気持ちにより、適切な問いに向き合う

このあたりから、ようやく案内パンフレットの画像を作る気持ちになっていきます。
しかし、第三号案はPeatix用なので、美大っぽくありません。
椅子の制作も研究テーマの一つであり、その裏返しとしてイノベーションの研究をやっています。
その二面性がうまく出ないかと考え、元々の椅子とシナプスの画像の両方を使ってうまく表現できないかと考え始めます。

真ん中で半分ずつの画像にするべきかと考え、一旦画像を置いてみます。

第四号案の誕生

第四号案

ここまでの成長は、イノベーション研究とアートとしての椅子の制作を融合している、自分のオリジナルの研究をうまく魅せるには、という、適切な問いを立てられたことです。

しかし、着眼点は良いはずだけれども、造形的に美しくないと感じます。ピンと来ないまま、手だけ動かします。(3月23日)

美を感じるものに出会える

シナプスの画像をくるくると回しながら、椅子の写真を入れ替えながら、手を動かし続けます。
適当に動かしていくということではなく、白紙の上にフィボナッチの比率のガイド(いわゆる黄金比のような、人が美しいと感じる比率のガイド線)に沿って画像やテキストを置いていったわけです。

そうするとピタッと、私の美のスィートスポットにはまる瞬間に突然出会うのです。

この瞬間、案内パンフレットの画像が自信を持って提示できると確信を持ちました。

イノベーションの研究とアートとしての椅子の制作を融合した、オリジナリティのある世界観が伝わるものになり、なおかつビジネスパーソンも、アートに造詣が深い方も興味を持ってもらえそうな仕上がりです。

第五号案の誕生

第五号案

ここまでの成長ポイントは、自分の美の感覚を信じて手を動かし続けたことです。それにより、美のスィートスポットにはまるものを生みだすことができました。(3月25日)

おわりに

このような軌跡をご紹介することで、私の研究や卒制展を身近に感じて頂けると嬉しく思います。
卒制展の最終案内画像を貼った、ホームページです、ぜひご覧ください。卒制展も是非お越しください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?