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生命維持機能

ビジョンを描き、そこからバックキャスティング思考で新規ビジネスを構築しようと試みるのだが、多く、現業の改良や改善に留まり、価格競争に向かって突撃していく。欲しいものが海外にあって、それを国内に持ち込んで、多くの人々が「それを欲しい!」と願うことから「無意識に喚起された消費者ニーズ」に応える商材づくりが成された。大量生産・大量消費型ビジネスであり、ビジョンを描いたわけでは無く、同質の商材を、持たない者が欲する時代であり、国民に行き渡るまでビジネスチェーンは拡大し、旺盛な内需によってビジネスが形成されていた。言ってみれば総国民をペルソナにしたて、その物欲を満足させるというビジョンは、エネルギー消費拡大と過剰雇用を生み、生命維持機能を失った地球を仕立て上げた。木製品から金属製品へ、そしてプラスチック製品へと軽佻浮薄なものづくりが続いた結果、マイクロプラスチックが海洋汚染を引き起こし、海洋生命を侵食し、人体を蝕む事態に発展している。正に、生命維持機能を失わせる経済活動である。

ビジョン設定において、「生命維持機能を地球から失わせる」という暴言に共鳴する者はいない。ビジョンメークの前提として「生命維持機能を持続できる地球」を共有する必要がある。すると共創されるべき要素技術は低環境負荷である必要がある。製造プロセス迄含めて、脱プラスチックであり、省エネルギーでなければならない。そうでなければ世に出さないという勇気が必要である。ビジョンに共鳴できる新規ビジネスを立ち上げようという起業家が大勢集まって解を共創していく「スモールビジネスの共創」が必要である。そこには社会的受容性が高いビジネスであり、新しい暮らしの形を導くビジネスが集う事になる。このスモールビジネスの共創の場においては、そこに集う企画者とペルソナの自発的に成し遂げたいニーズを喚起することになり、無意識に喚起された欲望を満たすマスプロダクションとは根底から異なる。生命維持機能を持続できる地球という意識を前提としたバックキャスティングは、人々が自らの他律機能を能動的に発揮したくなる商材づくりを共創していく事に繋がる。