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自らの資本を活かす 比喩力

要約力によって聴き手に自らの主張を漏れなく伝えることが出来る。聴き手の地図の上での伝達であり、聴き手独自のビジュアルを描く。聴き手の意識の中を覗くことは出来ないが、それを察する事は出来る。意識の共有が出来ているかを確認する機能として比喩力がある。お互いが極めて近い専門分野である場合、おぼろげな表現であっても、相手の聴き力によって主張の伝達が可能な場合がある。一方で、異なる分野の者に自らの活動がもたらすアウトカムズの価値を伝達する事には大きな困難さを伴うことが常である。
 
要約した後に、それを聴き手の能力を最大限に活用し、自らの思考のレベルを高めていくためには、聴き手に完璧な理解とアウトカムズの価値を喚起し、聴き手の能力との融合による新たな気付きを引き出す必要がある。聴き手は自らを高めるツールと捉えて良く、また、聴き手がより高い機能を身に着けた際には、自らをツールとして選定して頂ける可能性にも期待するべきである。その為の相互理解の状態をリアルタイムで把握するためのトリガが「比喩」である。
 
的確な比喩を使いこなす為には日頃からあらゆる分野に興味を抱き、真剣に取り組み、自らの知恵とするために興味を抱いた対象を解釈し尽くす必要がある。あらゆる文化をも尊敬し受け入れることで、人々が歴史を積み重ねながら生まれてきた解釈と行動の要因を、自らの知恵として使いこなせるよう努力を続けなければならない。その知恵こそ、異なる学術や産業の領域における先達に対して、比喩によって自らのアウトカムズの価値を共有して頂くことが出来る。一生涯を掛けて努力を積み重ね、磨きをかけることが出来ることも、比喩力獲得の楽しさでもある。