炎の夢
一
ゆめがほしいの
おかあさん
さんたさんにゆめをお願いするの
完熟のりんご
へたが抜けちゃう位にね
おかあさんのタルト・タタンが
好きなの
りんごは酸っぱい方が
お菓子に向いている みたいな
幻想に恥かかせてあげたいの
わたし星のうさぎだから
月を飛び越えてしまう
そのまんまでいいって言って
をお願いするの
都会の空は明るく滲んでいて
まっすぐ泣くことすらできやしない
二
物語は続かない
本を閉じて、はい、おしまい
おやすみね
夢はみない
こころあたり
あることばっかり
髪を毟って
私の代理人さん
生まれ直したら太陽が昇っているなんて!
聞いてない
ないことばっかり
鰓だってまだのこっているのに
三
まだ
探したりないまま
物陰に連れられて
見透かされている
わたしの肋骨
ひまわりの笑顔は
すでに誰かの手垢まみれ
その背骨を灼く火が
とうめい で
薄い縁に触れてみたくなる
滑りやすい坂
連なる未熟なつぼみ
呼吸がまだ深い
四
投身
五
炎のかおり
懐かしい
やさしいふるさとのかおり
まだないふるさとのかおり
誰も待ってはいない よ
ゆうぐれは
待っていないよ
長い長い影の分
生きてきたみたいに
足元の影の方が
ずっと暗いみたいに
ゆめをみたいの
麒麟の瞳に
視線を合わせてみたいの
四肢をほどいてみたいの
尾をゆらす
海辺の図形
にだらかな報復
八千代のゆくすえ
輪郭を淡くして
もどかしい煙
(誰も待ってはいねよ)
もう電灯に照らされないから
ゆめがほしい
炎の夢が
短歌や散文詩、曲を作ります。スキやフォローしてくださる方本当にありがとうございます、励みになります。ブログもやってます。