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感覚に耳をすます。
合気道の稽古にも親しむ建築家は、ともにその大事とするところは身体の感覚を開くところにあるという。
周りの世界と自分とが互いに浸透し合うような感じで、その感覚に耳を澄ますと、自分では普段は意識していない全身の感覚(センサー)が多くあることに気づく。
そんなきめ細やかな感覚が建築空間の居心地の良さに繋がっていくのだという。
この感覚の表現について、理学療法士の視点からみると、とても示唆に富んでおり、臨床感覚からしてもとても正しいことを言っていると思う。
普段はまったく意識していない動きでも深くゆっくり動きを確認しながら、どのように動いているか、その重量や触れているものの感覚をきめ細かく脳で感知するように促していくと、身体感覚の閾値が下がり、より詳細に自分の動きを認知して、動かすことができるようになる。
世界の中に自分の身体が溶け合い、そして存在をたしかに感じるのだ。
これは自分自身もなんども講習会等で得た感覚であり、多くの患者さんの治療を通して与えてきた感覚である。
不思議とこのように感覚が花開き、自分の体験できる世界が拡がると患者さんはみな笑顔になる。
たしかにそこにある身体を認知することは、自分の存在をたしかめることである。
それは生きているという実感でもあると思う。
きっとこの方の建てたものは不思議と笑顔になる居心地がよい空間なんだと思う。
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