本を読むこと。 ~ 森の生活から学ぶ生き方 ~
私の人生に影響を与えた本を紹介している「本を読むこと。」。
今回ご紹介する本はH.D.ソローの「森の生活」です。
H.D.ソローはアメリカの詩人、思想家で、ソローのウォールデン湖畔での生活を描いた「森の生活」は1854年に刊行され、150年以上たったいまも読み継がれるアメリカ文学を代表する古典作品のひとつです。
本書は自然とともに生きた著者の生活録であるとともに、「どう生きるべきか」という人生の問題を探求した哲学書ともいえ、シンプルに生きること、ミニマムに生きることが見直されている現代においてもソローの思想はミニマリズムの古典として輝き続けています。
アメリカの工業が発達し、鉄道が敷かれ、生活が劇的に変わっていくなかであえて「自然」といきる道を選んだソロー、その生き方について書かれた美しい言葉を引用しながら、いくつかご紹介していきます。
心の埃の落とすこと
身の丈に合わない大きい家に住むこと、不必要な家具を置くこと、そうしたことを争うように焚き付けられる私たちの暮らしですが、それらの管理に費やさなければいけない時間は増えて、自分たちの時間がなくなります。
自分の時間がなくなれば「心」には埃が貯まっていく一方です。
自分に本当に必要なものを見極め、考えること、シンプルに生きることは自分の心の埃を落として、自分らしさを取り戻すことなのです。
朝の時間
朝のこの時間に機会的な揺さぶりや、工場の始業ベルの音で目覚めるとしたら、その日一日に多くを期待することはできないとソローはいいます。
ギリギリまで寝て、目覚まし時計に何回も起こされ、慌てて着替えて、食事を済ませて、満員の電車で移動する私たちの朝の生活。
朝は一日のうちでもっとも汚れのない時間帯であり、曙光によって満たされた時間は私たちの内なる霊性を目覚めさせ、活力を取り戻すことができます。
多くのエグゼクティブやトップリーダーも朝の時間を大切に過ごしています。
朝日とともに目覚め、読書や瞑想、運動などは精神を安定さえ、脳を目覚めさせ、より活動的な一日の準備となります。
森の生活
ソローは自然の厳しさ対する畏怖や自然の中で人間が本能的に生きることによって気づくことできる「人間の真の価値」について考えていました。
物質的な豊かさと引き換えに増える労働時間と奪われる思考、それは本質的に人として「生きている」ことにはならないとソローは考えます。
森の生活はソローにとって「生きる」ことそのものであり、ヒトとしての本能と感覚を取り戻すことでした。
自然の身体における効用については現代では盛んに研究されており、うつ病の治療や予防への効果もエビデンスがでてきています。
150年前にからソローはそのことに感覚的に気づいていていました。
また、物質的な豊かさを求める生活が「憂鬱」を増やしていることも同時に指摘しています。
自然に身を浸し、自分を取り戻す時間が現代においても必要とされており、キャンプ人気が高まっているのも偶然ではないと思います。
まとめ
ソローは人間が人間らしく生きるためには、物質的に満たされることではなく、必要最小限の物と仕事があって、自分の時間を最大限にすること、そして自然の豊かさや厳しさ、美しさを身体全体で感じ取り、五感を刺激することで健康的にそして謙虚に生きることできると考えます。
最近ではミニマムに生きること、自分の時間を持つこと、自然の中で過ごすことの身体に与える影響について、様々な研究がなされ、ソロ−の思想が実際にうつ病の予防や生活習慣病の予防に効果があることが示されてきています。
自分らしく生きるために、自分なりの「森の生活」を見つけ、生活に入れ込んでいくことが、健康的に、そして活動的に「生きる」ためには必要なのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本日の紹介本
#読書 #読書好きと繋がりたい #推薦図書 #人生に影響を与えた一冊
この記事が参加している募集
サポートいただけたら今後の活動の励みになります。 頂いたサポートはnoteでの執筆活動費、参考図書の購入に使わせていただきます。