考えることがやめられなくなっていた
これまで僕がうつ状態に陥るまでの経緯について書いてきた。今振り返ってみても、これだけのことが重なれば、そりゃあうつになっても仕方がないよなあ、って思う。でも、当時は、自分がうつになるかもしれないなんて思いもしなかった。そんな可能性、まったく考えなかった。だからきっと、多くの人はそうなんだろうと思う。うつになるまで自分がうつになるかもしれないという可能性を考えない。それどころじゃないんだと思うんだよね。追い込まれている時というのは。
ある日突然やってくる
僕はこの後、うつ状態に陥ることになる。
それは、ある日突然やってきた。
前日に、客先に行ったついでに、営業担当と飲みに行った。
その翌日の昼過ぎ、突然お腹が痛くなった。
ギューッとお腹の中をわしづかみにされるような強烈な痛みだった。
僕はたまらず、会社のトイレに駆け込んで、そこから約2時間も出てこれなくなった。
これは尋常ではない痛みだ、と思った僕は、早退をして会社の近所の病院に飛び込んだ。
その日はそれで何とか収まったのだが、その日の夜中にまた痛み出した。
布団の上で七転八倒するような強烈な痛み。
そのあとは一睡もできずに、朝になるのを待って、会社には遅刻することを連絡をして、今度は自宅のそばの病院に行った。
それ以来、様子がおかしくなった。
しばらくは食欲がわかなかった。一か月くらいの間、うどんばかりを食べていた。
そして、原因不明の発熱。37℃台前半の微熱が一か月以上続いた。
休みの日は布団から出ることができず、一日中布団の上で過ごした。
仕事ではミスを連発した。
普段の僕ならありえないような単純なミス。
それを客先から指摘されて思った。
なんかおかしい。
実は、そのころのことを詳しく覚えていない。
断片的な記憶しかない。
うつ病だと確信した
僕は自分はうつ病ではないかと疑い始めた。
どこかでうつ病のセルフ診断項目を見た記憶がある。
どこでで見たのかは思い出せない。
ネットだったのか、本だったのか。
当時はネットもそんなに普及していなかったから、本屋で立ち読みをしたのかもしれない。
そして、ほとんどすべての項目が当てはまっていた。
ああ、僕はうつ病だな。
間違いない。
そう思った。
そう、自己診断だ。
でも、病院に行く気にはなれなかった。
当時はまだ、今のように心療内科なんてなかった。
行くなら精神科だった。
でも、精神科は心理的なハードルが高かった。
それに、周りの目も気になる。
今よりももっと、うつ病に対する偏見がすごかった。
それに、仕事だってまだまだやらなければいけないことがたくさん残っていた。
何とか、会社に出ることができていたので、これを投げ出すわけにはいかないと思い込んでいた。
そんな状態だったので、なんとか自分の身体に鞭を打って、仕事を続けていた。
周りの誰にも相談せず、一人暮らしをしていたので、家族にも相談せず。
なんでこんなことになったのかをずっと考えていた
そして、考えることといえば、「どうしてこんなことになったんだろう」ということ。
何処で間違えたのか。
どうして自分は自信がないのか。
どうして僕はここにいるのか。
過去の記憶をたどり、それまでの人生を振り返り、どの時点で間違えたのかをずっと考えていた。
もう考えるのは嫌だ。
そう思っても考えてしまう。
考えるのを止めたいのにやめられない。
仕方がないので、夜は酒をあおって泥酔して寝る、という日々が続く。
泥酔しないと考え事が止められないので、寝ることができなくなっていた。
自分の人生のことがよく分かった
おかげで、自分の人生のことがよく分かった。
自分の性格も、生まれ育った環境のことも、自分が受けてきた教育のことも、時代背景のことも。
とにかく、いろんなことを考えた。
そして、いろんな気づきがあった。
苦しかったけど、考えるのはつらかったけど、毎日が押しつぶされそうな日々だったけど、いろんなことが解った時期でもあった。
(つづく)
自分がうつ状態に陥って、そこから這い上がってくる過程で考えたことなどを書いています。自分の思考を記録しておくことと、同じような苦しみを抱えている人の参考になればうれしいです。フォローとスキと、できればサポートをよろしくお願いします!