『呪縛』


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こんにちは。

二日です。

今回は、前回の「時間」についての自分なりの考えから制作した『呪縛』という作品の紹介をしようと思います。

前回お話した通り、私は、「時間」は人間にとって呪いのようなものだと考えています。「時間」があるから「時間」を気にしないといけない。「時間」があるから自由にできない。「時間」が存在しなければ、やりたいことをなんでもできるかもしれない。もしかしたら、「時間」があるから、寿命が決まっているのかもしれない。そんな「時間」は、人間が自らに課した「呪縛」。

出来上がった写真には、人の左右の手が、色んな時計の鎖で縛られている様子が写されています。呪縛によって、自由に身動きできないことを鎖に縛られた手で表し、その鎖は、時間のシンボルである時計でできている。

ます、この作品を制作していたときの背景を説明すると、この作品は、年度が変わって、私が大学3回生になり、所属していた写真サークルでも最高学年になって最初の展示会の時に出展するために制作しました。年度が変わって最初ということは、前年や前々年にいた先輩方が引退した直後ということです。先輩方の写真は、どの方のどの写真にもパワーというか、とても目を惹くものが多くあって、個人的には、毎回の展示がとても面白いものになっていたと思います。なので、先輩方が引退して、それらの写真が展示されていない展示会に、「今までの」写真を見るためにやってきてくださった方に「学年が変わってから面白くなくなった」とは絶対に思われたくないという気持ちがありました。

ただ、自分は、めちゃくちゃ綺麗な写真を撮れるわけでも、所謂「センス」を感じさせるような写真を撮れるわけでもないので、どうやったら、見に来てくださった方に満足してもらえる写真が撮れるのかと考えていました。そんなときに、「呪縛」の案が浮かびました。ただ、この時点ではまだ「こういう要素を入れる」という程度しか浮かんでいないのだで、そこから、どんなモチーフで、どんな構図で、どんな明るさで、どんな雰囲気で、ということを詰めていきました。

まず、この作品の根底に据えるものとして、「良くも悪くも印象に残る」作品を目指すことにしました。これは、「今までの」展示を期待してきてくださった方に、「今年も面白いな」と思ってもらうか、「なんだこの醜い写真は」と思われつつも「でも、何故かあの写真が記憶から離れないな」と思われるようなものを目指すということです。

この考えをベースに、テーマである「時間」と「呪い」を元に、「人の手が腕時計でできた鎖に縛られていたら、インパクトのある画面にできそうだ」というところから、この作品の原案みたいなものができました。そこから、さらにインパクトを与えるために、視覚から入る情報量を増やすために、鎖に使う腕時計を、色をカラフルしたり、できるだけ彩度が高いものを多く入れたり、明暗差もあるようなものを選びました。とにかく「異様」であればあるほどいいという作品を制作するには、情報量の「ある程度の」渋滞を狙うと良いんだろうと思いました。やりすぎはもちろんダメなので、足し算はしつつ、ちゃんと引き算もしていくような感じでした。引き算部分としては、背景は暗めで無地にしたり、被写体は中央の日の丸構図(不意打ちなら結局日の丸構図が1番インパクト出せると思う)にしたり。

あと結果的に写真ではちょっとわかりにくくなってしまいましたが、撮影時にISO感度は上げれるだけ上げて、写真にザラザラ感出して、「負」のイメージを表現できたらなぁと思ったのですが、ちょっと微妙になってしまったので少し反省。

まぁそんなこんなで、この『呪縛』という作品が出来上がりました。私にとっては初めての「作品」と呼べるものです。制作して2年以上経った今でも、自分の作品制作の一つの目標のような位置付けになっています。

まぁ逆に、この作品に囚われてしまっている節もあるにはあって、まさに自分への「呪い」のような作品であります。でもこの感覚から、最近自分の中で一つの考えが生まれたので、また今度書こうと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

次回は多分さっき書いたように「最近自分が考えたこと」について書こうと思います。

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