一番古い記憶

一番古い記憶はなにか。そんなことを考えては思い出そうとしてみる。すると、やはり父方の祖父の記憶にたどり着く。「やはり」というのは、これまでも何回か試したことがあったのだけれど、やっぱりこれ以上古い記憶にたどり着かないのだ。
家族や親戚が集まる席で祖父が自分を抱いてくれている。オレンジ色の明かりの下、みんな食事をしているのか、お酒を飲んでいるのか。なぜか祖父は雪見だいふくを食べさせようとしてくる。しかし、それをぼくは拒否する。食べたくなかったわけじゃないが、虫の居所が悪かったような感じだ。雪見だいふくを拒否するぼくを見て祖父は笑っている。それを見てみんな笑っている。たったそれだけの記憶だが、かなり鮮明に覚えている。なんだかとてもあたたかい記憶だ。それがぼくが思い出せる一番古い記憶である。
ぼくが生まれてまだ本当に間もない頃の記憶だと思う。こうして、改めて思い出してみて、これからもいつまでも覚えていたい記憶だと思った。

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