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自分をまっとうするのが人

人は他の誰かと入れ替わることができない。アニメやドラマではよくある入れ替わりだが、現実には起こるはずはなく、生まれてから自分をまっとうするのが人である。そんなことはもちろんよくわかっているつもりだが、大切な人たちが苦しんでいる姿を見ると、自分が代わってあげたいという気持ちがなぜだか湧いてくる。
 最近、全身がきしみ始めた父親は動くたびに激しい痛みに襲われるらしく、ほんの些細な動きでも声を上げるほどだ。そしてぼくの奥さんは、妊娠のつわりの症状のため、常に気持ち悪い状態が続いている上に、今日は熱っぽく、身体がだるいようだ。
 かといって、それらの痛みや苦しみをぼくが代わってあげたところですぐに音を上げてしまうだろう。情けない話なのだが、痛みに強い人間など人間ではないだろう。だれもが痛みや苦しみなどは避けたいだろうし、少しでも収まってくれと思っているはずだ。ぼくも父と奥さんの症状が少しでも緩和してくれることを願っている。あとできることといえば、何かしてほしいことにできる限り応えることだ。そうやって少しでも力になることがそばにいる意味だと思う。
 少しずつでいいから、よりよい状態に向かっていると信じて、大切な人たちの健やかな日々を願いたい。 

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