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相手の話を一度受け止める。

事態を悪化させているのは、いまの日本の風潮である「聞く姿勢のなさ」です。

今日の朝日新聞朝刊の「耕論」に掲載されていた心療内科医の海原純子さんの話である。

成人式ができなかった若者が不公平感を頂き、50代に「昔の人は何でもできて良かったですね」と言う。すると「昔は昔でどれだけ大変な時代だったか知ってる?」とすぐに返してしまう。そこで「ああ、そうだよね」という言葉を挟む余裕がない。共感まで行かずとも、一度相手の言葉を引き取ってみることができず、すぐ自分の意見や信念を言いたくなってしまうのです。

この話を読んで、胸の内でうなづく自分がいた。と同時に、自分もそうなっていないか不安になった。

 男性脳と女性脳の違いの話を聞いたことがある。女性から何か話をされたときや相談されたとき、男は解決案を提示したがる。しかし、女性は解決案など求めてなく、話を聞いてもらえるだけで満足するそうだ。といっても、一概にすべてにおいて通用する話でもないだろう。
 けれど、どんなときでも「相手の話を一度受け止める」という姿勢は大切なのではないか。自分が話していてノータイムで言葉を返されると、「この人は自分の話を本当に聞いているのか」と不安になる。
 会話は信頼で成り立つ。だからこそ、ラリーではなく、キャッチボールが理想なのである。相手のボールを打ち返すのでなく、しっかりと受け止める。受け止めるからこそ投げられるボールがあるはずだ。
 そのためにはまず、受け止める意思と気持ちの余裕が必要だろう。そう考えていくと、聞くこととは本来、受け止めることなのかもしれない。
「どんな話でも聞いてくれる」ということが信頼に繋がり、互いに支え合う関係を築いていけることは人の営みにおいて大切でうれしいことだと思うのだ。

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