「響け!ユーフォニアム」アニ音イズムを聴いて

昨日の深夜、「アニ音イズム」という番組がNHKFMで放送された。

特集されていたのはアニメ「響け!ユーフォニアム」の音楽達。
ゲストにオープニングを担当されていたTRUEさんと黄前久美子役の黒沢ともよさん、川島緑輝役の豊田萌絵さんを交え、「響け!ユーフォニアム」の作中音楽やオープニングやエンディングを音楽的に解説していく番組だ。

「へー! そうだったのか!」「ここってそんな意味があったんだ!」と目から鱗が落ちる話ばかりで感心しっぱなしだったのだが、特に面白かったのが1年生の時の久美子が吹くのに苦戦していた曲の一節の話だった。「スラー」と言って滑らかに音が繋がるように吹くと難しいフレーズが、「タンツカタンタンタン」のように音を区切ると吹きやすくなる(歌いやすい)という話が特に面白かった。

他にも曲の中のフレーズがある曲のもじりだったり、47抜き音階という日本ならでは音階を使っているという話だったり、久美子達が2年生の時の「リズと青い鳥」の中に出てきたパーカッションの男子がカラカラ回してた謎の楽器やウィップといった楽器は、全国大会に出たことで部員が増えて音のバリエーションを増やすことができたという話も面白かった。当たり前だけど楽器って音を増やすために生まれたものだし、1つの曲の中で色々使える音が増えるというのは顧問の滝先生の立場に立つと面白いだろうなと思った。

他にも「金賞」をなぜ「ゴールド金賞」と言うのかは、「金賞」「銀賞」と音だけ聞くと分かりにくいという話があった。
そして「金賞ゴールド」を目指していたのに「銀賞」で泣く高校もあれば、「銀賞」でもそこまで来れたと喜ぶ高校もあるという話は感慨深かった。
青春とは残酷で、全ての努力が報われる訳ではないし、1年掛けて目指していた物に手が届かなかったり、1つのミスで全てが崩れ去ったり、舞台に立つ事すら叶わない部員だっている。アニメ版の久美子も最後の全国大会でソロを逃してしまった。
それでもきっと頑張ってきた事は無駄じゃない。
それを3期のオープニングだったり、久美子達が演奏した「一年の詩~吹奏楽のための」にメッセージとして込められていた。
「春、新たなる息吹」「夏、栄光の謳歌」「秋、宿命の時」「冬、終焉……そして再び始まる」の4部構成。
最後はフルートがフレーズを吹いて終わる。
終わるんだけどそのフレーズは始まりでもある。
終わりではなくまた始まりなのだというメッセージが、込められているのだ。
「響け!ユーフォニアム」は最終回を迎え、久美子役の黒沢さんも過去形で久美子を演じていたと自己紹介していた。
けれども「響け!ユーフォニアム」はこれからも愛される作品だし、まだまだ知れば知るほど「そういう意図があったのか!」という所がある作品だろう。
倍速視聴や次々と出てくる新作、情報の洪水に溺れて流されがちな我々だが、時に立ち止まって1つの作品をじっくり掘り下げる時間も大切じゃないだろうか。
そんな事を考えさせられた。

あなたが読みたいと思ってた文章、書きます。