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【よむラジオ】1-3 シューフィッターとオーダーメイド、ダンス教室


これは帰り道のお話。

じぶんや周囲に押しつぶされた不登校をぬけ、少し歳をとってからだれかと過去をふり返ると、あぁあんなことがあったなと思い出しては、それを人に伝えたくなります。分かってほしくなります。

たくさん話した。でも、まだ話しきれてないことがある。

帰り道、バスや電車の時間が迫ってきていても、もう少しだけ、私はあなたに伝えたい。サッカーのアデショナルタイムのような時間を、寂しがりやな我々に。


〇【帰路の余熱】とは

不登校経験者であるラボメンバーやスタッフの会話を文字に起こしたよむラジオ連載。「経験者その後」の声を記します。本題はそこそこに、余った熱でする話。というかふつうの雑談。


〇本日の2人

スタッフ・古川×なすとうま


〇プロフィール

スタッフ・古川
20代前半。高校3年間不登校。不登校ラボスタッフ。

なすとうま
20代後半。小学校3年生から中学卒業まで断続的に不登校。不登校ラボメンバー。


〇前回のラジオ




なすとうま:私、11月末に靴買いに行ったんです。それもABCマートとかじゃなくて六本木の、なんかめっちゃいい靴屋さん。あの、大塚製靴っていうんですけど、結構昔からある老舗。

スタッフ古川:六本木の高級店で買い物した話ですか。急にぶっこんできますね。

なす:そもそもどうしてめっちゃお高いところに買いに行ったかっていう話なんですけど、その前の年の、だから2022年の、ふるさと納税で千葉県なんとか市、たぶん大塚製靴さんの工場があるのか本社があるのか分かんないですけど、ゆかりの地の返礼品として大塚製靴の5000円引き券だか1万円引き券とかがありまして。

古川:エピソードの入りがビジネスマンですね。「ふるさと納税の返礼品で…」から始まるトークって、めちゃめちゃ大人の雑談って感じする。

なす:そんなにビジネスマントークではないと思ってます。返礼品の金券、まだ使ってないなと思って裏返してみると期限が1年間でして、家の近辺にも一応使えるお店はあったんですけど、六本木が本店みたいな扱いだったので、せっかくだから行ったろうと思いまして。

古川:そういうのはぜひ本店に行きたいですよね。分かります。

なす:あれですわ。文学フリマの前に買った、オーダーメイドの高いスーツを着て買いに行ったんです。高いスーツを着て、コンタクトにして、髪もちょっと綺麗にして。行ったんですが、やっぱりいいところの靴で安いものでも3万円ぐらい。多分一番品数にボリュームあるコーナーが9万前後、10何万の靴とかもたくさんある、みたいなレベル。私の身なりが追い付いているのか心配でしたよ。

古川:壮観ですねー。

なす:今プライベートで履いてるもので1個だけ高い靴があって、大学生の時に横浜の高島屋でシューフィッターさんっていう人がいるお店で買ったんですよね。

古川:聞いたことない職業。

なす:靴のサイズを合わせてくれる職人さんです。なんでシューフィッターさんがいるとこを選んだかというと、私の足がふつうの人より小さくて横に幅が広いと思い込んでたから。このあいだ、横は別に広くなかったというのが判明したんですよ。私、縦幅が23センチぐらいしかなくて。

古川:はいはい。

なす:男性の靴って基本、25センチからしか展開してないじゃないですか。革靴だとスニーカーサイズより目安1センチ程度小さくないと履けなかったり、日本のメーカーと海外のメーカーでサイズの作り方がちょっと違ったりとか。本当に足のサイズレベルに合うものがなくて。昔、シューフィッターさんのところで買った、多分2万円ぐらいしたやつを、もう5年近く履いてる気がします。23.5センチの靴。

古川:いいものなんですね。

なす:です。会社にカジュアルな服で出社するみたいなどうでもいい時は、無印の3,000円?4,000円?の靴で行ってます。無印なら男女兼用で売ってるので、24cmとかの靴を買えるんですよ。

古川:ああ、男女兼用ってそういう利点もあるのか。

なす:それで、今回の大塚製靴では予算として3万円くらいで買えたらいいなと思ってたんですけど、足が小さいので一旦サイズで見つくろってくださいとお願いしたら、まず測ってもらって、めちゃくちゃ悩まれて、あれだとないあれもないどれだったらあるかみたいなのがはじまってしまって。3つかな、候補を持ってきてもらえたのが3足だけで…。

古川:だいぶ絞られちゃいましたね。

なす:私、ちょっとカジュアルめな靴が欲しかったんですよ。いい靴だけど普段使いなので、いいスーツと合わせる可能性は高いけどあくまでも一応プライベートですっていう枠で履きたかった。けど、デザイン的にどう見てもこれビジネスだよねっていう靴しかなくなっちゃって。それしかないんですよねって。管理職クラスの人が仕事で履いてる靴じゃんみたいな靴しかなくて、悩んでたらこの価格帯の靴だとここにあるデザインのやつでオーダーメイドできますって言われて、そっちにしようかなあとか。

古川:オーダーメイド…それはおいくらぐらいかかるんですか。

なす:9万円でした。だから、お店にあるビジネスビジネスした靴候補3つの中から選ぶか、9万円出して1、2ヶ月かかるけど好きなデザインでかつサイズ全部を測ってもらってからオーダーでつくってもらうかっていう選択で。結果、オーダーメイドでお願いしました。

古川:おお、思い切った。

なす:なので、スーツがセパレートでジャケットとパンツ分けてのお値段だと考えたら、電子機器を除くと、間違いなく靴単品で私の所持品のトップランクに踊り出まして。私その帰りぐらいになにかうまいこと言おうと思って、noteに書きかけてた完成してない文章があるんですけど、それを放置してたなっていうのを今日気づきました。

古川:えー、読みたいですね。

なす:なんだっけな。パッとたどり着けない。えっとね、多分あれなんですよね、「私は足のサイズも体も小さいし既製品は合わないので、それならそれでオーダーができるんだよっていうことを大人になって知りました」みたいな話。多分、会社辞めたいっていう話と絡めて。会社って既製品じゃないですか言ってしまえば。私のサイズ感がそこに合ってないなら、買う側が合ってないなら、「オーダーをする」「自分で作る」とかそういうのを消費者側で知った。それなら働き方としてもそういうのができるよね、人生の選択肢が増えましたっていう話。そういう道もあるじゃん、お金はかかるけどねっていうのを確か書こうとしてて。文フリで出す次の冊子にたぶん入ります。

古川:楽しみにしてますー。いやーしかし大人トークですね。

なす:大人トークです。だから私あれなんですよ、下手したら次の文学フリマ、5月だったらもう暑いからフル装備はしないと思うんですけど、もし仮にフルで来た場合に私、靴とスーツで20万ぐらいするすごい成金状態になるんですよね。

古川:一緒にいれないよ俺。隣いて大丈夫かよ。

なす:20万しながらシャツには4000円のユニクロ着てますよ。

古川:全然そんなんじゃごまかせないです。そんなんで安上がりのフリはできないです(笑)

なす:2万円のいい靴でも4年戦士5年戦士ぐらいなので、対応年数で割ったら1年あたり4000円っていうのを考えると、靴と上下ユニクロも充分いいと思いますよ。


古川:靴トーク、俺もあるので最後にちょっと話します。今年の年始実家の新潟に帰ってて、正月から小学校のグラウンドで弟と野球してたんですよ。

なす:元気(笑)

古川:三男にノックしてもらって、次男と二遊間組んでゲッツ―取ってたら大地震きた日なんですけど、あの日雪解けがしみ込んだ地面で靴がボロボロのドロドロになっちゃって。こちらも靴を久々に新調したんですよ。

なす:奇遇ですね。

古川:変えた靴、実は2年前に買っていたものでして、1度だけ履いて放置していたんですね。で、なんの1回かというと、2年前、なにかやらなきゃと焦って始めたダンス教室の内履き1回分。それ専用に買ったもののすぐに行かなくなって、放っておいた靴を今になって履き始めました。

なす:言ってましたね、そんなこと。

古川:ダンスはすぐにやめちゃったんですけど、そのころ始めたあれこれの中に不登校ラボ(当時は子ども若者編集部)がありまして。ラボをぶん回している現状を考えると、この靴はあの頃のやるせなさを知ってるし、今の状態に驚いているんじゃないかなあとか感じます。タイムリープしてる感。

なす:あれこれあった靴ですね。そういえば会社にスーツ着ていく時に履いてる靴が、元のバイト先の社長に買ってもらったやつです。最初は気合い入れる時だけだったのが、だんだん普通の打ち合わせとかでも履くようになりました。これも靴に見合う大人になったよ感がありますね。

古川:靴トーク、おじさん臭さ出ますね。40超えたらお互い毎回してそう。

なす:おじさん臭さが板につく歳になってきますから。でも、革靴に窮屈さとか感じるようなら全然いらないです。私は服装にもコンセプト求めてる感があって、そこにピンとくるもの集めてたらこうなってきてたりするんで。

古川:うーん。まあぶっちゃけ、まだ「革靴が似合わない若者」でいたいですね、JKブランド的な。

なす:そういう心持ち、大事ですね。どれが似合うように、というより「かわいい」と「上品」の2軸でやってます。高いのも安いのもかわいく上品に収めたい。

古川:そういえば今日、はじめてLJKって言ってるLJKを見ました。へぇーほんとにLJKってLJKって言うんだーって思いました。聞いたら、普通に言うそうです。

なす:LJKがまず分からない……

古川:Last女子高生。

なす:おじさんは一瞬レフティかと思いました。

古川:左利きの女子高生……エレンかな?


〈了〉

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