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Netflixオリジナル作品「タイラー・レイク 命の奪還」レビュー


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誘拐された麻薬王の息子を救うため、バングラデシュに向かった傭兵。だが金の為に請けた任務がいつしか過去と向き合う自分との戦いへと変わっていく。


※ネタバレ注意



■アクション

「タイラーレイク」の感想を一言で言うなら「アクションがめちゃめちゃ楽しい」でした。序盤の小道具を駆使しつつ敵をちぎっては投げちぎっては投げするCQCは勿論、ワンカット風の街中戦が最高。そうそう、こういうのが好きなんだよ。

これは鑑賞中の自分のツイートですが、見終わってからだとアクションの良さを殺さないシンプルにまとめられた脚本だったと言えますね。でもそんなの何もかも邪魔だ!と感じるぐらい中盤カッコよかったんだよな。

というかアクションだけで評価すると、シメにかかっている(割と)長い後半部分のデクレッシェンドは気になるんですが、普通にドラマ的情緒ですねあれは。主人公結構重めの怪我してたし。

そう、わかってる。映画的にも満身創痍の演技を堪能する時間だと頭ではわかっている。それでも体が無双してるクリヘムを求めてしまうんだ…なぜなら無双してるマッチョはカッケーから。

このシーンの一連は全部良かった。ガンアクションのギミック的にも楽しかった。引用したツイート内の動画はメイキング付きですが、監督が剥き出しでハンディ持ってるのがおもろい。実際このシーン普通に鑑賞中も笑いましたね。めちゃめちゃやってるのが伝わってきたので。

■ドラマ

そんなわけで街中戦が終わるとドラマの部分が動き出すのですが、ここに関しては主人公のクリヘムよりもランディープ・フダに軍配が上がるのが正直なところです。

ランディープ・フダ かっこいい

クリヘム演じるタイラーは息子に関する悲しい過去こそあれどそれを極力表面に出してこない。オヴィとの会話でそれがまろび出てからも(緊張状態にある、という状況もあって)常に前進している基本的に気持ちのイイ奴だ。

見返りを求めないところも相まって画面的な泥臭さに負けない綺麗なヒーローっぽさがある。これは役者の話にもなるが、クリヘムはMCUで得たヒーロー性をパーソナルなものとして会得していると思う。それは今作「タイラーレイク」でも(ルッソ兄弟が絡んでいるというのも手伝って)良く作用していた。

だからその分、彼と敵対し最後には共闘する心身ともにダーティなランディープ・フダ演じるサジュの不器用な生き方が対比で見ても人間臭くて魅力的だった。顔中血まみれになる機会があったら鼻を治すシーンを再現します。

そういう意味ではドラマに深みを出す為に出演してくれた、カレーで例えるなら隠し味のコーヒーみたいなデヴィッド・ハーバー演じるギャスパーも良かったですね。クリヘムとほぼ同体格の肉弾戦なので格闘技っぽいアツさがあった。


■終盤


彼らが順番に散っていく中、我らがタイラーも見逃した子供によって殺害されてしまいます。あの子供に関してはガッツリ伏線張ってたので驚きはなかったですがショッキングでしたね。ここからラストにかけてはネット上ではいろんな話が飛び交っていますね。

ラストはともかくタイラーが橋から落ちるシーンは冒頭に重なるのは勿論、この場を早く去るように自ら投身した、と解釈するでもいいし、何よりもし落ちずにあのままヘリに乗ったら見殺し感が強くなっていたのをクレバーに回避していたなと思います。


最後の人影については記事にもなっていた。

「それぞれの見方の良い部分をお渡ししましょう、ということです。曖昧な結末にしておくので、あとはみなさん自身で決めてくださいね、って」

こういうタイプのラストは賛否が分かれがちですね。記事に書いてあるように監督の考え、オーディエンスの反応、諸々の最大公約数的決断だったのかな〜と思います。

アクション映画に対して感覚的快楽を1番に追求するのはごもっともですが今作はアクションにデクレッシェンドをかけ、情緒的なところに収束しているのでまさにそれの体現っぽいシメ、というか。


■終わりに


皆さんはどんな解釈をしましたか?そもそも、こんな終わり方は嫌いだ!派閥ですか?

自分は素敵だなと思いました。

希望を与える虚像なんて、ヒーローの本質みたいなものですからね。

サポートして頂けたら夕飯が少し豪華になります。