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数値化の鬼 ── 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法(2022/3/2)/安藤広大【読書ノート】


数字がすべてではない。ただ、数字を無視して成長した人は誰1人としていない。全国3500社以上が導入した「いま、もっとも人を成長させるマネジメント法」の識学。そのエッセンスの中から「伸びる人」に共通する考え方の「型」を紹介。

成功する個人や組織が数字の重要性を理解し、数値化する方法を採用していることを強調しています。著者は識学(意識構造学)を通じて組織の課題を解決し、数値化の習慣を形成することで個人とチームのマネジメントが向上すると主張しています。この本は、特に「伸びる人」に共通する考え方を紹介し、6年で2000社以上が導入した「いま、もっとも人を成長させるマネジメント法」の識学を提供しています。

識学とは
意識構造学は、個人や組織の意識や思考のパターン、構造を分析し、それを最適化するための学問です。
1990年代後半(約20年前)に日本で研究が開始され、実際の経営現場で臨床を重ねて体系化、人間の意識構造を徹底解剖した学問の応用。ヒトの意識構造は、大きく5つの領域(位置・結果・変化・恐怖・目標)に分けることができます。

本書のキーワード

KPI(Key Performance Indicator)

「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」と訳される言葉です。企業における最終目標到達までの、各プロセスの達成度や評価を示す指標で、はっきりと数値で示すことができる定量的なものであることが求められます。
KPIは、目標を達成するプロセスでの達成度合いを計測したり監視したりするために置く定量的な指標を意味します。KGI(重要目標達成指標)の中間指標として、KSF(CSF/重要成功要因)とともに目標達成の重要な鍵となります。
KPIは、チームや個人が目標達成に向けて適切にプロセスを実行しているかどうかを定量的に評価するための指標です。最終的な目標実現までの道に設置された中間目標数値と考えるとわかりやすいかもしれません。
KPIは、ビジネスでは企業の経営戦略から個人の業務管理まで幅広く活用されています。

エンゲージメント(engagement)

英語で「婚約」「誓約」「約束」「契約」などを意味する言葉です。利用シーンに応じてさまざまな意味で使われますが、基本的に「深く関わりのある関係性」を示しています。
ビジネスの場におけるエンゲージメントは、企業と顧客、もしくは企業と従業員の関係性を表します。人事領域におけるエンゲージメントでは「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」という意味合いで使われています。
従業員のエンゲージメントが高い企業は、離職率の低下や生産性の向上に効果があるという研究結果も出ており、近年注目されている言葉のひとつです。

変数

最終的な成果に影響を与える数字として定義されています。例えば、営業活動においては、プレゼンテーションの資料の精度を上げることや、受注率を改善するためのアプローチを変数として挙げています。変数を改善することで、数字が上がるとされています。

また、組織運営においては、どの数字を動かすことが最終的な成果に影響を与えるかを理解し、その変数を見つけ出すことがリーダーの重要な役割とされています。変数でないものを変数と誤認しないことも強調されており、例えば、社員のモチベーションは変数ではなく、定数として扱うべきだと述べられています。

なぜ数値化が重要なのか?
ビジネスで成功する人々は、数値を上手に使っています。数値は、評価者から評価される人々にとって重要であり、自分の状況を客観的に把握し、目標を設定し、行動計画を立てるための唯一のツールです。
PDCAサイクルと数値化
PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルに数値を組み込むことで、計画の明確化と現状の正確な把握が可能になり、成果を上げやすくなります。計画を立てる際に時間をかけ過ぎず、数値をしっかりと確認し、改善の際にも数値化を重要視しましょう。
確率の数値目標を避ける
目標を立てる際に、確率の数値目標を避けましょう。確率にとらわれると、行動力が低下し、質の向上に意識が向いてしまいます。目標を達成するためには、行動力が重要です。
改善フェーズでの変数の見極め
結果の改善には、数字を裏付ける変数を見極めることが重要です。数字だけでなく、変数も検討し、本当に影響を与える要因を特定しましょう。
数字を使いこなすためのアドバイス
数字を使いこなすためには、日常的に数字を活用する習慣を身につける必要があります。数字を使えば使うほど上達します。トレーニングを通じて数値化を実践し、ビジネスでの成果を向上させましょう。

仕事ができる人の定義

その集団における自らの評価者から評価を獲得できる人
社長⇒市場/部長⇒社長/課長⇒部長/メンバー⇒課長
マーケットからメンバーに至るまで、評価を獲得し続けていけば、すごい組織になっていく。という意味でいうと仕事ができる人とは、『評価者の求められることができる人』
では、評価者から求められることができたかどうを誰が判断するかというと⇒当然『評価者』

ここで起きるエラーは、その評価者が評価するのに自分がこんなに頑張ってるのになんで評価されないの?みたいに思ってしまう⇒『自己評価』
もしくは、評価者以外の同僚・後輩から評価されているのになぜ評価されないのかと思ってしまう。
会社において評価者は上司なのでその上司から絶対に評価を得なければいけない。

ではその評価をしっかり得ようと思ったときには、まずはその上司が何を求めるか求めているかというのをはじめに明確に理解しないと間違った方向に努力してしまう可能性がある。
⇒それを明確にするために、上司と『求められることを数値化する

数値化のポイント

状態:売上目標・訪問目標件数など。
期限:いつまで

プロセスについて

プロセスは良い結果を出すためにために存在しているので当然そのプロセスは大切だが、プロセス自体を評価してしまうと『いいプロセスを見せることがうまいに人間に育ってしまうので、プロセスを評価するのはやたほうがいい。⇒いい結果が出た後に評価するのは良い。
プロセスを評価する思考は棄てたほうが良い結果が出せる人間が育つ。

リーダーが取り組むべき変数について

変数の定義:最終的に出したい成果に対して影響を与える数字
例:プレゼンテーション時の変数を見極める方法
改善して数字が上がる部分=変数

KPIの数値を管理でいうと、どの数字を動かしにいくと最終的な数字に影響を与えるのかというのを変数として捉える。
その中で最大に影響を与えるものを『真の変数』とする。

リーダーのやるべきこと:変数を見つける・変数を絞り込む(変数でないものを変数と認識させない)
一営業マンに視点を置くと自社商品の良し悪しを変数に設定しても意味がない。求められていることは、今商品をいかに売るかということ。

そこを変数と勘違いすると、商品の視点がいってしまい本来動かさなきゃいけない変数側に視点がいかない。
言わば商品の良し悪しとは天気のようなもの。
雨が降っているから売れないということは、前提条件であるため、「変数」ではなく「定数」である。

モチベーション

一人ひとりのモチベーションは、配慮すべき点ではない。扱うべき変数ではない。それによってその社員の成績が上下することが許されると勘違する。(言い訳になる)
モチベーションとかエンゲージメントををスコア化してスコアを図るのは、本来定数であるべきところを変数化するという意味で社員のためにならないし、結果的にマネージメントの難易度を大幅に上げてしまう。⇒人によってできたかどうかの認識にズレが生じるから。

お前はリーダーシップがないからとか統率力がないからって言われてもどうしていいか分からない。何が正解か分からないことになるので、その人によって解釈が変わるものは、数値化の対象にふさわしくない。

上司・部下などの関係する人たちと認識がズレないようにする。
認識がズレてる部分があると思った場合は数値で認識をあわせる。

人間はその瞬間にできることは一つしかない。
優先順位をしっかり決めてやるべきことを絞り込む。

成長したいためにもしくはその成果をあげたいあれこれやろというのは、タスクごとの移動のズレが生まれるためよくない。
⇒数字を絞り込み、引き上げに行くことに集中する。

01:30 数字で考える
03:31「数値化」をクセづける
05:16 PDCAには数値を入れる
07:10 PDCAをやってみる
09:06 「平均のウソ」に騙されない
10:48 「短期」と「長期」の2つの視点
13:07 「良い損失」と「悪い損失」

「数値化マインド」6つのポイント

  1. 数値化する癖をつける:

    • 主観的な言葉を避け、客観的なデータを使って情報を伝えることの重要性を強調しています。

  2. PDCAを数値を組み込んで進める:

    • 具体的な数値を設定し、それに基づいてPDCAサイクルを回すことで、目標達成に向けた進捗を明確にする方法を提案しています。

  3. 数字の嘘を見抜く:

    • 数字の背後にある実際の行動量の重要性を理解し、数字に惑わされないようにすることの大切さを説明しています。

  4. 変数を見つける:

    • 目標達成に影響を与える変数を特定し、それに対する具体的な行動を考えることが推奨されています。

  5. 変数を減らす:

    • 目標達成に向けて行動を絞り込み、効果的な取り組みができるように変数を減らす方法を紹介しています。

  6. 長い期間で考える:

    • 長期的な視点で目標達成に向けた行動を評価し、必要に応じて継続するかどうかを判断することの重要性を強調しています。


蛇足:仕事ができる人を「評価者から評価を獲得できる人」と定義することへの反論

評価者の主観性:評価者の主観に依存することは、公平性や客観性を欠く可能性があります。評価者の個人的な好みや偏見が評価に影響を与えることがあり、必ずしも仕事の実績や能力を正確に反映しているとは限りません。

数値化の限界:全ての仕事の成果を数値で表すことは困難です。特に創造的な職業や人間関係が重視される仕事では、数値化された目標達成が実際の貢献度を適切に評価しているとは言えない場合があります。

プロセスの重要性:良い結果を出すためには、適切なプロセスが必要です。プロセスを評価しないと、短期的な成果は得られても、長期的な成功や持続可能な成長は難しくなる可能性があります。

変数の過度な単純化:仕事の成果に影響を与える要因は多岐にわたり、単一の変数に集中することが常に最善とは限りません。複数の変数が相互に作用することで成果が生まれることも多く、その複雑性を理解することが重要です。

モチベーションの役割:モチベーションを定数として扱うことは、個々の社員の内発的な動機付けを無視することになりかねません。モチベーションが高い従業員は、より良い成果を出す傾向があり、これを無視することは組織のパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。

優先順位の過度な単純化:一度に一つのタスクに集中することは理想的ですが、実際には多くの仕事が並行して進行する必要があります。柔軟性とマルチタスキング能力もまた、仕事ができる人に求められる重要なスキルです。

これらの反論は、仕事ができる人の定義や評価方法には多角的な視点が必要であることを示しています。単一の指標や評価者の主観に依存することなく、多様な要因を考慮した総合的な評価が求められます。


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