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障害児手当を受給するために知っておかなくてはいけない傾向と対策

机に向かって絵を描く子ども


障がいを抱えているお子様のご家族へ


こんにちは。

名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。

最近の何やってんの?は「ジムで筋トレしないでシャワーを浴びて帰る」です。


本題です。

子育てにはお金がかかります。今回は子どもに障害があるともらえるかもしれないお金について。それは特別児童扶養手当障害児福祉手当です。




申請までの流れ


お住まいの地域の役所で申請に必要な書類を手に入れます。

医師に診断書を書いてもらいます(文書料として3,000~5,000円程度かかります)。障害者手帳があれば診断書がいらない場合があります。

申請に必要な書類を記入し役所に提出、結果を待ちましょう。





手当とは


特別児童扶養手当とは

20歳未満の身体、知的、 精神に障害のある子どもを育てる父母や養育者への手当です 。



障害児福祉手当とは

20歳未満の身体、知的、精神に重度の障害のある子どもへの手当です。



地域によっては申請の条件として「障害の手帳○級以上」となっていることがありますが、そうした条件は「受給できるかどうかの一つの目安」です。役所で「条件があるので申請できません」と言われても国の制度である以上、申請ができないとうことはありません。


※弊所の相談者で「条件があるので申請できません」と言われた方が実際にいらっしゃいました。





手当を受給していない理由


手当を受給していない理由として「申請したが受給できなかった」ということがあります。しかし、そのほかにも

・手当の存在を知らない。

・受給できないと思い、申請をしていない。

という方が多いです。



大学病院の相談員さんから聞いたことがあります。

「特別児童扶養手当を受給できるのは一握り、障害児福祉手当は更に狭き門」

「障害児福祉手当は重度というより最重度」

「受給条件を満たしていても受給できないケースはたくさんある」

「親は手当の説明文を見て期待してしまう。結果的に“がっかり”させてしまう可能性が大きいので、あえて案内はしていない」

「まずは医師が(手当の申請に必要な)診断書を書くかどうか」


こうした手当に関する情報を手に入れるのは大変です。大学病院の相談員さんでも手当については、あえて案内はしていないと言っています。理由は受給ができないかもしれない、診断書を作るのにお金がかかるetc…



役所の職員さんが教えてくれる、ということも少ないと思います。役所の職員さんの仕事は、「問い合わせに応対」して「申請を受け付ける」ことです。「受給できる可能性が低い手当」の案内をすると

・業務の負担が増える。

・受給できる可能性が低いので、受給ができなかった場合にクレームにつながる可能性がある。


また、定期的な人事異動があるため

・制度や障害、医療的ケアに関する知識を深めることが難しい。

・知識を深めることが難しいため、親御さんから質問をされても返答に困ってしまうことがある。





手当が受給できるか否かを決めるもの


それぞれの手当とも申請数に対しての支給決定数、いわゆる「支給決定率」が公表されています。特別児童扶養手当については例年80~90%程度です。重要な点は、それぞれの手当とも地域によって支給決定率に大きな差があるということです。特別児童扶養手当については95%を超える地域もあれば、50%を下回る地域もあります。理由は「判定医の判断」によるところが大きいからです。


手当の申請に関する判定は、都道府県や政令市が委託している判定医が行います。判定医は多くの場合、身体、知的、精神など障害種別ごとに一人です。氏名は公表されていません。


手当の申請に関する判定について、判定医は本人に直接会うことはなく、診断書など書類のみで判定します。また、国が定めた審査基準が曖昧です。そのため、判定結果が判定医の診察傾向に大きく左右されます。地域によって支給決定率が違う理由としてこうした背景が考えられます。





Q.どうすれば手当を受給できる?


A.医師の診断書に「本人や家族、周りの人が何に、どれだけ困っているか」を記載してもらいましょう。

そのために…

1.本人や家族、周りの人が困っていることをメモして、受診の時に医師に渡します。そのメモを参考にして医師に診断書を書いてもらいましょう。

2.書いてもらった診断書の内容を確認します。

3.診断書の内容が不十分もしくは誤りがあれば、医師に書き直してもらいます。


診断書の内容に納得することが大切です。医師に追記や書き直しを依頼することは躊躇されるかもしれませんが、そこは割り切りましょう。


IQ(知能指数)はそこまで重要ではありません。どれだけ本人や家族、周りの人が困っているかが問われます。ある程度IQ は高く、軽度の知的障害と診断されている場合でも、危険を認識できずに道に飛び出す、沸かした薬缶のお湯を触る、オムツをしていたり自分で着替えができないなど、日常生活を送る上で困っていることが手当の受給には重要になります。その強い困り感に対して国が金銭的に補助します、というのが今回の手当です。





結論


障害を抱えた子どもの手当は
特別児童扶養手当と障害児福祉手当です。


あなたが働き、税金を納める義務を果たしているのであれば、正しく制度を使う権利を行使しましょう。そのためには、正確で現実的な知識が必要です。ぜひ今回の記事を参考にしてください。



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