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「宅配牛乳」をやめる。

長年続けていた宅配牛乳をやめた。
(正しくは乳酸菌飲料だけど)

「インフルエンザには乳酸菌がいい!」と聞いて
慌てて申し込んではや数年。
毎週届く安心感、そして
なにより瓶で飲む乳製品は美味しい。
唇でそろりと挟むように飲む、ぶ厚い瓶の感触。

子どものころ、木の箱を開けて、よく冷えた瓶を2本取り込むのが
夏休み、ラジオ体操から帰った朝の日課であった。
ここ数年は我が家も子どもたちが瓶係になり
かちゃかちゃ音を立てながら落とさないよう抱えて運ぶ
そんな姿も好きだった。

当たり前だけど
毎日1本ずつ飲んでいたものが
急に誰かが1本多く飲むと足りなくなる。
うっかりこぼして床を乳酸菌まみれにする
子どもがいるとなおさらである。

そうなった時に妙にそわそわするようになった。
ああ、また買いにいかないと。
この焦りに似た衝動はもはや中毒に近いと思った。
乳酸菌中毒。
別に乳酸菌飲料飲まなくても死にはしない。
(腸の中の菌は死ぬのかもしれないけどもそれはまあ・・・)

「なくてもいいものがなくなって、ないと困ると思う」のが
ちょっとおかしい気もする。
求めすぎは良くない。人間関係と同じである。

「何か至らぬ点がありましたでしょうか」という
宅配会社窓口さんの優しい声に
一瞬「やめるのやめます」と言いそうになったが
ぐっとこらえて、7年の宅配生活を終えた。

先ほど何も知らない配達担当のトラックが、
最後の配達となった瓶を運んでくれた。
切ない音がした。

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