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たとえそれが「つくりもの」でも

今日は多くの日本人が意識をせざるを得ない日、バレンタインデー。

この日まで募る想いを積み重ねてきた者もいるだろうか。はたまた会社に知人にと忙しく配り回り、忙しない者も。

世の中がさまざまに、甘くもほろ苦いムードに包まれる、チョコレートトリビュートの不思議な一日である。

元々の起源は意外とそれとは打って変わったようなことで、遡りにのぼる3世紀(269年)のこの日、当時禁じられていた兵士の結婚を促した、聖人ヴァレンティノが処刑された当日。その死を悼む日とされているそうだ。後に、あの入りの瓶入りプリンで有名な神戸発祥の老舗洋菓子店「モロゾフ」の創始者がチョコレートを送ろう、というような広告を打ったことがはじまりだという。

意外とシリアス。そしてチョコレートを送る文化は意外にも企業の広告から生まれている。たしか日本のクリスマスケーキも、不二家のケーキからだったっけ。

本来の意味からはかけ離れた「つくりもの」のこの日。

「よかったら、どちらかひとつ。」


仕事終わりのタイミングで思いがけず、職場で普段顔は合わすもののなかなか話す機会の少ない先生が、チョコレートの箱を差し出してくれていた。クールな印象だったけど、意外にもそんな一面があるなんて。お返しには少ない気持ち程度ながら、東京土産を置いてきた。

この日のはじまりが何であれ、今年は労わる気持ちを分かち合い、素敵な人柄を知れる日となった。

そんな細やかな優しさこそが、すーっと疲れた隙間に程良く沁み渡るのだった。


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