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ふうふは人生のいい宿題仲間。子育ての終焉・別居を機に模索する、あたらしいふうふの形とは

いつもお読みいただきありがとうございます。
夫婦やカップルの本音をシェアするコミュニティ「フタリノ」です。

「ふたりのA面B面」第5回は、結婚30年を越え、いきなりはじまった別居生活に今まさに直面している朝野さんご夫婦にお話を伺ってきました。

ふたりのA面B面」とは?
夫婦それぞれの視点から「ふたりの転機」について取材をするインタビュー企画。夫婦の人生の重要な局面での喜びや葛藤、決断の背景にはどんな想いがあったのかを、それぞれの視点から紐解いていきます。

「幸せなパートナーシップ」をテーマにしたイベントに夫婦で登壇するほど仲の良い朝野さんご夫妻。僧侶である夫のみちのりさんと、起業をして第一線で働かれている妻のかおりさん。

今回はA面として、妻のかおりさん視点で、別居生活の本音や、結婚30年以上経った今もなお「まだまだ未熟なもの同士」と語る、今とこれからについて語っていただきました。

今まさに、夫婦の関係性や環境のちがいに悩んでいる方に読んでいただきたいおふたりのストーリー。ぜひ最後までご覧ください。


僧侶の彼は
俯瞰・達観・思考の人

ーーーかおりさんから見て、みちのりさんはどんな方でしょうか?

かおりさん(以下、かおり):
すごく優しい人です。息子に対する気遣いも含めて、私より倍ぐらい母性を持っているんじゃないかなと思うこともあります。普段は寡黙な人ですが、喋り出すと止まらないときもありますね(笑)

人をあてにしたり、いい意味で人に甘えない人です。俯瞰しているので、よく次元が違うなと思うこともあって……。

最近はないんですが、夫婦喧嘩をしていたときに「人間っていうのはね、宇宙の視点でみるとね」と主語が壮大なことが多いんですよ。「あなたの意見を聞いてるんですけど……」とよくずっこけていました(笑)

ちょっと笑い話なんだけど、そこもいいところですよね。まとめると、彼は俯瞰・達観・思考の人で、表面的な出来事にぶれずに、信頼と愛情を寄せてくれているなあと感じています。

出会いから現在まで
彼は人生のいい宿題仲間

結婚当初のおふたり

ーーーおふたりの馴れ初めについて教えてください。

かおり:
当時彼が小さい会社で社長をしていて、私が秘書兼管理部門として採用されたことが出会いのきっかけです。 彼からのアプローチがあって、そのまま結婚をしました。

自己肯定感が高くなかったからだと思いますが、「こんな私でも認めてくれる人がいる」とか「愛してくれる人がいる」っていうのが、嬉しかったんだと思います。

ーーー今のかおりさんは、すごくみちのりさんのことが大好きな印象が画面越しから伝わってきました。今に至るまでに、どのような気持ちの変遷があったのでしょうか。

かおり:
今回は別居ということで、わかりやすく違うステージに入ったのですが、振り返ってみると関係性って変化していくものだとも感じています。

後で振り返ってみると、人生って色々な経験をしている方が面白いじゃないですか。大変だったとしても、いろんな経験をしていく中で、恋愛だけじゃない人生の色んなものを一緒に味わっている同志としての愛情が育まれていったんだと思います。

まだお互いに未熟なもの同志だからこそ、努力が必要ですよね。「人生の宿題に一緒に取り組む相棒」として、この人生を通じて学んでいけるといいな、と思っています。

突然はじまった別居。
じつは、すごく嬉しかった!?

結婚30年目の伊豆旅行
ひとつのマフラーを巻いているおふたり

ーーー今現状、 みちのりさんのご実家の事情でやむを得ず、別居されてると伺ったのですが、実際最初にその話が出たときは、どういったお気持ちだったのでしょうか。

かおり:
別居というと、不安だったり悲しいというイメージがあるかもしれないけれど、実は、すごく嬉しかったんです。 なぜかというと、彼には人生のやり残しがある、という話を前から聞いていたんですよ。

別居のきっかけは、彼のお父さんの体調が悪くなり「数日様子を見てくる」というところからどんどん期間が延びて、気づけば今は10ヶ月目になりました。

彼の実父は実は小さい時に亡くなっていて、その後、実の叔父が父になりました。お父さんが住職で、彼が副住職ということもあり、もともと親子だけでなく、師匠と弟子という関係でもありました。そんな背景もあって、彼はずっと親子関係に遠慮や積み残しがあったんですよね。

今回、お父さんの具合が悪いから、彼が実家に戻って滞在するという理由だけれど、 そこで親子のやり直しみたいな体験をしたかったと思うんですよ

30年も一緒にいると、さすがに声色だけでも調子がわかるんですが、たまに電話すると声にすごく芯があったんです。そのときに「この人は、すごく大事な経験を今積んでるんだな」と思えたので、私にとっても喜ばしいし、応援したい気持ちでいっぱいになりました。

10ヶ月経った今の素直な気持ちとは?

慶応大学の夫婦に関するイベントにて

ーーー今の率直な気持ちは、いかがでしょうか。

かおり:
別居当初は、まだ息子が川崎に住んでいたので心に余裕もありましたが、息子が1人暮らしをすると決まったときは、寂しさや不安がマックスでした。

「これから一生1人暮らしなのか……」と思う一方で、新しい体験だな、とも思ったり。これからの人生をどうやって作っていこうかと楽しみな気持ちもありますね。

パートナーシップで言うと、今までは夫婦が1つのチームとして子育てを一緒にやってきましたが、子どもが独り立ちをして、その共通目標がなくなり、環境も変わったわけです。

子育てというお勉強が終わったので「子育てのない夫婦ってなんだろう?」と今まさに直面しているところで、そこに対する面白さや好奇心はありますね。

ふたりが夫婦でいる理由〜最近決めた3つのキーワード〜

キーワードは成長希望掛け算です。別居して10ヶ月経ったということで、あらためて大切にしたいことを話し合い、お互い一緒にこの人生を歩む仲間でいたいね、という話をしました。

1.成長

1人で取り組める成長もあるけれど、 2人ならではの成長となると思い通りにいかないこともたくさんあります。私たちは、特にいまは離れた環境にいるので「相手を信じて任せなければ」という気持ちや、自分の力の限界もある。

そんな中で、2人だからこそ学んでいけることや「人間的な成長を目指す仲間でいよう」というのが一つ目のキーワードになります。

2.希望

2つ目は希望です。

「暗闇の中でも光を見ると希望が湧く」ということもあるので、色々と大変だけど希望を持っていこうね、と。お互いが、未来に対して励まし合う仲間だったり、照らし合える存在になりたいね、という思いを込めて考えました。

3.掛け算

3つ目の掛け算は、正反対な性格の私たちだからこそ、面白いものが生まれるかもしれないよね、という話から出てきた言葉です。

私は話してコミュニケーションを取りたいタイプだけど、彼は話さないことに困ってはいない。その差を埋める「完全な正解」があるとは思っていなくて、今も模索中なんです。なので、まだお互いの個性を掛け合わせる「掛け算」には到達できていないんですよね。

俯瞰、達観、思考、内向タイプでお寺にお勤めしている彼と、今ここ、楽観、感情、外向タイプでビジネス環境にいる私のかけあわせって、相当面白い何かが生まれると思うんです(笑)。毎年、主催者のひとりとして講座を提供させていただいている「しあわせなパートナーシップ講座」では、この掛け合わせがみなさんに好評だったので、この「異質の掛け算」の妙を私たちの人生でもさらに楽しんでいきたいです。

対照的なコミュニケーションスタイルについて

ーーーいま、夫婦という形や関係性に1番求めていることってなんでしょうか。

かおり:
今いちばん求めていることは、気軽な会話ですね。
「今日こういうことがあってさ」とか「そうだったんだね」というやりとりが、今はほとんどないんです。

LINEのスタンプを送っても返事がないし、メッセージもない。ほっとくと、何週間も音信不通みたいな状況になってしまうので、もうちょっと量も増やしていきたいかな。今は、私がなにかLINEで送っても、2〜3回に一度スタンプが返ってくる……という感じなんですよ。

結婚初期から返信頻度は少なかったのですが、今は、一緒に暮らしているときと状況が全然違って距離もあるので、どうやって気軽な会話を増やしていこうかなと思っています。

つい先日このインタビューの事前打ち合わせがきっかけで、彼が「やっぱり顔を見て話すってすごくいいね」と言ってくれて。会えなくてもZoomで定期的に話そうか、と提案してくれたんですよ。

今までは、たまに電話をするくらいしかできていなかったのですが、これからは積極的に顔を見て話をしていきたいと思ってます。

オープンに話し合いたいかおりさんと、
全部を見せない美学やそこに恐れもあるみちのりさん

結婚30周年の伊豆旅行

ーーーかおりさんがコミュニケーションをする上で、意識されてることはありますか。

かおり:
私は思ってることは隠さずに、そのまま素直に言うようにしています。
でも彼は、全てを見せないことに美学もあるし、 見せることに対して恐れもある人なんですよね。

そこが彼とのすれ違いポイントでもあるんですけど、15年以上前に「やっぱり思ってることをオープンに話し合えるような関係にしたいんだよ」と彼に伝えたんです。

そうしたら「僕と結婚して、10何年間経っているけど、僕のここにハゲがあることは知らなかったでしょ」と急に言ったんですよ。

「別にそれは隠してもいないけど、言う必要もないことだった」と。「人間、全部を言わずにちょっと隠していることもあるし、本人だけが大事にしたいこともあるんだよ」と彼に言われてからは、何でも話すことが全部いいわけじゃないんだな、とも思うようになりました。

だけど、今はまだミステリアスな部分が多すぎるので、尊重はしたいけど隠しすぎる必要もないのかなとは思っています。今回もこのインタビューをきっかけに初めて知ったこともあったんですよ。

彼が全肯定してくれたからこそ、いまの私がいる


ーーーそんな口数の少ないみちのりさんですが、どんなときに相手から愛情を感じられますか?

かおり:
20年くらい前、喧嘩をしたときに「私にどう変わってほしい?」と彼に質問したことがありました。彼は人に甘えないし、頼らない人で「私はその在り方自体を変えてほしい」と言ったんですが、彼が私に対して変えてほしいことは「お米の炊き方」でした。

うちは炊飯器ではなく鍋でお米を炊いていて、彼の方が炊くのが上手なんですよ。

私はてっきり、変えてほしい場所は性格や態度について言われると思っていたので、まったく次元のちがう話が出てきて「え、そこなの!?」とびっくりしたんです。

家が汚かろうが、料理がまずかろうが、文句を言われたことは全然ないですし、私がどんな人間だろうと何をしようと肯定してくれてる。かといって、褒めるわけでもなく、何も言わないことで肯定されていると感じます。

ありのままの性格や存在を変えようとせず、受け入れてくれたからこそ、私はこんなに生き生きとできているんだと思います。
何も言われないことを寂しく思ったり……という無いものねだりでもありますが、彼がいなければ、私は全然違う人生になっていたと思いますね。

これからのふたりにとって
目指していきたい姿

ーーーみちのりさんは、ありのままのかおりさんを受け止めていらっしゃったんですね。一方で、「自分も変わるから、相手も変わってほしい」と、歩み寄りを求めてしまうことはないのでしょうか。

かおり:
「個性」は成長の過程に関係なく、誰しもが持っているものだと思っています。
一方で「お互い人間的な成長をしようね」と合意をしているからこそ、小さな人間になってしまったり、人として汚い部分が出てきてしまったら、良い影響を与えられる存在でいたいですね。

そのためには、「個性として変えないところ」と「成長のために変えるべきところ」の見極めが必要です。ときには、相手の成長のために、あえて踏み込む必要がある場面もあるんじゃないかな。

「自己都合で相手を変えたい」「こうなってほしい」という自分の願いというよりも、相手によって良いことがあったり、2人の目指す姿のために、こっちの方がいいよね、という前向きなものだと思います。

その人のことは絶対に諦めないけど、本質的な個性や性格に関しては全面的に尊重していく。その人の人間としての美しさはぜひ残していきたいです。

そしてやっぱりふたりでいるからには、人生の中で1番の味方であり、応援し合う関係でいたいですね。

ーーーかおりさん、ありがとうございました!

外交的なかおりさんと、内向的なみちのりさん。
連絡がなかなか返ってこない。ミステリアスすぎて、謎な部分も未だにある。そんな中で子育ても落ち着き、「夫婦ってなんだろう?」と思った頃に、突如はじまった別居生活。

環境の変化は不安が伴うものですが、かおりさんの表情からは、みちのりさんへの感謝と愛情、そして長年連れ添ってきた確固たる絆の強さが感じられました。

夫婦は、共同経営者とも言いますが、まさにおふたりは新たな関係性に向けたキーワードをつくりだしたばかり。きっとこれから先もいろんなことは起こるけれど、「人生のいい宿題相手」として、互いの個性や性格を受け入れ、前に進んでいくおふたりは、頼もしい人生の先輩像ではないでしょうか。

後編のB面では、夫みちのりさんに、別居がはじまった当初の心境や、対照的なふたりのコミュニケーション法について、詳しくお話を伺いました!

ぜひお楽しみください。



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