002話:KOKON靴店でのしくじり

KOKON靴店をご存知でしょうか。

金沢の竪町商店街にある、小さなお店なのですが、靴を制作する側になった、今でも日本屈指の名店だと思っています。

そのうち詳しく紹介させていただきますが、簡単に言えば、こんなお店です
・世界各国で直接買い付けてきた素晴らしい革
・流行を追わず、ベースを抑えた
店長のデザインセンス
・日本最高峰の生産技術を持つ工房による靴作
・人間の足の特性を、よく反映させたラストによる快適なフィッティング

2007年の2月、
修士論文を書き上げた後、大学院の学位授与式にはちゃんとした大人な革靴を履いていこうと思い、一念発起。当時住んでいた金沢にあるKOKON靴店を訪れました。

はじめて訪れた、ちゃんとした靴屋がKOKONで、最高の革で作られた靴を手に入れ、その魔力にやられたこと。

そして、ふつーの人なら間違いない靴を手に入れていたであろうに自分のミスでサイズ選びにしくじったこと。

この2点が、私が靴制作側にまわるための
きっかけになったのだと今では思います。

誤解のないように説明したいのですが、小紺さんの接客がまずかったわけではありません。

しっかりフィッティングする場合は、
アポをとって時間をかけて選ぶものですが、
本格靴のことを何も知らなかった私は、ABCマートで靴を買う感覚で訪問。

その時、お店には別の方が靴を選んでおり、小紺さんは接客中でした。
やりとりを簡単に書くと。。。

 私   「(お店にある靴をとって)これ履いていいですか。」
 小紺さん「どうぞ。何かあったら、呼んでくださいね。」
 私   「 この靴、ください。」
 小紺さん「君、学生さん?」
 私   「はい。大学院の修了式と、4月から会社で履こうと思っています。」
 小紺さん「それなら半額の2万円にしておくよ。学割ってことで」 
 私   「ありがとうございます!!」   

はぃ、致命的ですね。完全に小紺さんのご好意を無駄にしてます。
革靴にハマり始めで、やりがちのしくじり。
せめて前の方の接客を終えてから出直すべきでした。いくら優れた靴でも、これでは合わせることなんてまず無理!

ですが、その革質は素晴らしく、サッと撫でるだけで光り、厚みもしっかりあって、雨に打たれても手入れをすれば、すぐ元どおり。
ちなみに買った靴はこちらのデザイン。悪くない選択だったと思います。

製造は、技術に定評のある浅草のセントラル靴で、現JOE WORKSを主催するジェームズさんが指揮をとる最高の布陣で。

革について書くと、こちらの画像の国産カーフ。後にZinRyuが世界中の革を買い漁るようになって、CCDカメラで接写した画像ですが、、艶やかな質感、使用感も名だたる高級革と比較しても頭ひとつ優れていました。

そうして、フィッティングを間違えたまま、最高品質の革靴を手に入れてしまったことにより、頓珍漢なサイズのまま靴を買い漁る道に入ってしまいます。

この膨大な失敗が、ZinRyuの靴づくり、ラスト設計のベースの一つなりました。

次は社会人になってから、靴の無駄遣いについて書きますね。

ーー当時のわたしへのメッセージ。ーー
靴を買うときには十分な時間をかけよう。高い買い物なのだから。
ネットで調べるのが得意なのはわかるけど、まずはフラットな状態から専門家の意見を聞くようにしよう。
変なプライドを拗らせず、自分が無知なのを自覚して、お店の人にサポートを求めよう

ZinRyuのツイッターはこちら。


気軽にカジュアルに履く方も作る方も革靴を楽しんでいただきたいので、有益な靴や革の情報を基本的には無償で公開していきたいと思います。 皆様のスキやサポートのおかげもあり、何とか続けてこれました。今後とも応援していただければ嬉しいです!何卒よろしくお願い致します!