004話:スペックだけで靴を選ぶ しくじり

「スペックで靴を選んではいけない」
そんな教訓を残した経験をお話しします。

先にお断りしますが、メーカーや職人さんやお店に忖度せずに、所々で自分の経験としての失敗談を残したいと思っています。

さて、本題です。フィッティングを5分買いという暴挙で外したこともあり、KOKON靴店で買った靴は靴ずれを起こしました。それでも履き続けたあとは、なんとか日常的に履けるほどになっていました。

「靴とは靴擦れするもの、履けば自然とそのひとの一部になる」という、ネットの偏った知識を、不幸にも完全に信じ込むことに。

今では、KOKONさんの靴は(私のしくじりで)サイズが合っていなかったけれど、靴の基本設計が足に沿った自然な設計だから、履けるようになったのだと理解しています。

”靴好きあるある”なのですが、次はKOKON以上のスペックの靴を手にいれようと、変な気を起こしたのが、さらなるしくじりです。(黙って、ちゃんとアポとって小紺さんの接客を受ければ良いものなのに)

また、ここでやってしまったのが、ネット検索による情報収集を鵜呑みにすること。KOKONの靴はグッドイヤーウェルト製法という高級な靴に使われる製法で長く修理しながら履けるらしいけど、それを上回る手縫いによるハンドソーンウェルト製法の靴がある。

42NDという靴。しかも4ー5万円代で。。。(2007年当時のお話)

以下、代官山の本店行った時の店員さんとのやりとり

店員さん  :どのような靴をお探しですか?
ZinRyu   :OXOXなようなシーンで使える靴を探しています
店員さん :では。。こんな靴は
ZinRyu  :でも、私って結構靴擦れしちゃうんですけど、革靴ってみんなこんな感じなのですか?
店員さん :なるほど、足を見せてくださいね。(見た後)この靴を履いてみてください
ZinRyu  :いいですね。買います

その後、「おかしい、ハンドソーンウェルト製法なのに、なんで靴擦れするのだろう。KOKONは馴染んだのにこの靴は一向になじまない」

理由を今考えてみれば、その店員さんは完全に私の足の形と靴の形を見誤っていました。私の踵の幅より明らかに靴の踵の幅が大きい。足の甲にもフィットしておらず、靴の革と足の間には3mmの隙間があったと今ではわかります。そのため、履いて歩くと足が靴の中で動き、かかとに局所的に当たり損傷していく。

さらに、製法はハンドソーンウェルテッド製法なのだけれど、そもそも基本の設計が機械に合わせたラストだったのだと思います。

でも、ハンドウェルトの靴はグッドイヤーより優れた靴と思い込み履き続ける悲劇。。。しかも一向に馴染まない。設計自体が足に合わせていなかったので当然です。

革は有名ブランド革でしたが、国産カーフのKOKONよりよくなく、履き辛い靴は手入れする気もなくなり、結局人にあげました。

いくらハンドソーンウェルト製法の靴といえど、それを活かす設計でなければ、足に合わなければ意味をなさないということですね。


ーー当時のわたしへのメッセージ。ーー
・靴のスペックだけしか見なかった浅はかさが生んだ失敗。
・ネットの意見より、靴に対して自分の感覚を大切に

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