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039話:革質についての本当の話

革質は革ブランド以上に、左右される要素があります。
まずは、この二つの靴を見比べてください。

・同じラストです

・同じ革を使っています。

・同じ、最も革の良い部位を使っています。

・製靴をお願いしたのは同じ職人さんです。

なのに、同じ手入れをしても全く別の革に感じます。

革質の要素:

大雑把に言いますと
・なめし成分の皮への充填度(高いほど、時が経つにつれ輝きます)

・仕上げ方法(革の表面的な表情、水への強さなどを左右します)

ここまでは、タンナーの話。上記の同じ条件なのに別の革。
なんでだろう?と検証した結果、一つの結論にいきつきました。

整型時の釣り込み工程で、ちからをいれて引っ張った強さが違う。ということに気づきました。


こちらの靴はスキンステッチを施しているため、釣り込み時のテンションを下げたのだと思います。革は引っ張られるほど表面の凹凸が平面にちかくなり、輝きが増すという性質があります。

よく、ハンドメイドで作られた革が、すごい良い革であるとの感想をいろいろなブログで見ますが、結局は釣り込みによるところも大きいと実感した次第です。

既製品で、アノネイの革を銘打って売り出しても、ダメな革と良い革の違いは部位より釣り込みにあるのかもしれません。

おまけにフィッティング:

widthは1サイズ余裕で違います。右の靴は一枚のフルソックのインソールを入れて、左の内羽の靴に比べ同じよりやや余裕があるくらいでした。実感するに強いテンションで釣り込まれた左の靴は、伸びる余地がすくないため、たくさん履いてもフィッティングに変化がありませんし、フォルムも変わりませんでした。

マシンメイドとは明らかにことなる、革質と足を固定する強い感覚がありましたね。

もし靴を買う場合は、ハンドの全力で釣り込まれた靴かどうかを検討要素に加えてはいかがでしょうか。

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