022話:2010年〜2012年の経年変化

2010年、靴木型を削り始めてから間もないころ、友人のための靴を一つ作りました。そちらがこのデザイン。

少し靴オタクっぽさが残っていて、木型の立体生より土踏まずを絞ることで色気を出そうともしていました。(笑)

革はトスカナ州の子牛を、昔ながらの方法で、樹木から抽出したタンニンと牛のオイルで鞣した革です。

元の色は↑のようにオレンジに近かったのですが、クリームに赤を入れて仕上げました。もちろん、今の自分であれば色々と直すところはありますが、当時としては一生懸命削った木型で作った靴。

2年間4日に1回履き続けたエイジング:

その友人は、別のクリームを塗ったり、忙しい時はブラシと乾拭きだけだったり。履き心地が良いと雨のときでも履いたり。。

過保護にするといもあれば、靴好きには考えられないような厳しい環境にも置いたり、本当の意味でこの靴を自分の生活の一部にしてくれました。その結果のエイジングが、、

修理に持ち込まれてみた時に、「もうこの靴は完全に自分の手を離れて、そのひとの一部になったのだなぁ」と嬉しさと少しの寂しさを感じたことをよく覚えています。

誰かの一部になるような靴をこれからも作り続けたいと、画像を見るたびに当時の気持ちを思い出しています。

靴を作り始めた、あるいは何かを始めたひと。特にビギナーの方には、当時のあまり上手でない作品もなるべく記録に残しておくことを勧めています。多少恥ずかしい気持ちもありますが、当時の一生懸命さは今に繋がるかけがえのない心の資産になりますので。


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