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『旧市町村日誌』39 実家の時間。  文・写真 仁科勝介(かつお)

旅をしているはずなのに、東京にいた頃よりも、倉敷の実家に立ち寄る頻度が増えました。今、あらゆる荷物は実家に置いているし、ネットで買ったものや、仕事の書類も実家に届けてもらうことが多いので、立ち寄る頻度が増えたわけです。GW後半の数日間を実家で過ごしたけれど、家に帰るとどっさりと荷物が届いていて、その中には捺印して返送する書類もあったりするので、これ、国内旅だから成り立っているけれど、日本にいなかったらどうなるんだろう、とかも思います。

 ほかに実家でやることのひとつは、買い物。今回は夏の旅に向けていくつか買い物をしました。旅先でも買い物をすることはあるけれど、持ち運びやごみの処理が大変なので、実家にいるときの方が助かります。

 

そして、時間がある日はよくお墓参りに行きます。我が家のお墓は小高い山の中腹にあり、敷地に大きな木が生えていて、いつも枯葉や蚊がすごくて、掃除をするには大変なお墓です。そのお墓掃除をほとんど家族に任せてしまっているので、都合のいい奴だなと自分でも思うけれど、それでもお墓参りに行くのが好き。

 変な話、旅をしていると、いつ死んでもおかしくないとほぼ毎日、本気で思っています。当然、死にたくないし、全身防具も付けて走っているけれど、カブで身をさらしているわけだから、そういうものとは隣り合わせです。
家族に対しては、もし自分の身に何かがあっても、悲しみすぎてくれるなというふうにも普段から思います。ぼくはいつでも覚悟ができているし、だからこそ今、できる限り命を大切にしたいと思っているし、ご先祖さまにご挨拶をすることも、それでもまだ命があることのお礼と、ならばやれるだけがんばりますという気持ちです。どうしても、人は必ず死んでしまいますから。

 

あと、地元の美観地区もよく散歩します。旅先では知らない土地を歩くわけですが、美観地区はぼくにとって数少ない、地図を見ずに歩ける観光地なので、地元民っぽい感じで歩けてうれしいんですよね。ほとんど知り合いと出会うこともないけれど、それが今回は、東京でとてもお世話になった方と鉢合わせて、ビックリでした。いくつかルートもあって、「えっとー、今日はこっち!」と進んだ方角で出会ったので、直感で選ぶと良いことが起きやすいのかもしれません。

 

そして、何より、もちろん家族と過ごせる時間も少ないので、家族で食卓を囲めることも、つくづくありがたい。週に一度の寄せ鍋を、ぼくが実家に帰るタイミングに合わせてくれることが多くて、それがずっと変わらない味で、美味しいんですよねえ。




仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。


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