【詩】うつぼみ

いるいる、いらない、やっぱりほしい、すべってころんで駐輪場、あわてる気持ちをまぶしたサラダはご自由にどうぞ、みたいなタップダンスの練習用につける花のかんむりです、と説明書には書いてあるけど、ふだん踊ったりするような趣味はないから、なんとなくお出かけしましょうか?なんていうときに使う。

この花のかんむりを、フラクラって呼んでる。

安いわりによくできたフラクラ。でも、そのままでは心細い。ということで、12束セットを買っていろいろ組み合わせていると、これ、フードになるかもと思って、細くのばして編みこんで、お試しのつもりでかぶって出かけてみた。

今日の外はまんべんなくかたつむりで、ちょこまかとすばしっこいのやら、じっと動かないのやら、よりどりみどり。一匹、かぴかぴつむりが道にぺたんと座っていて、こっちを見ながら、あーあ、うつぼは湿っていていいなぁ、と言うので、違います違います、なにかの間違いです、と逃げようとすると、器用なツノでひょいとフードをつままれて、なぁんだ、うつぼはうつぼでも花のつぼみだったんですね、とのこと。

フラクラをフードとしてかぶっているので、うつぼでもあるし、つぼみでもある、そういう花だと思ってくれて、どうもありがとう。ぺこりとお辞儀。このありがとうは、つぎの梅雨入りまでつづくよ。

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