【詩】地球が若かったころのニュース

くるぶしがかゆい。ポリ、ポリ、ポリ、ポリ、と爪でひっかく。きっとくるぶしは、銀河の歯車なんだろうね。そうだね。カーテンがひらひらと風になびいて、その調子です、と言われた気がするので、とりあえず300回かいてみる。なのに、267回目のポリを間違えてボリにしてしまった。あ、と思うと、太陽がうまれて、地球がうまれて、海のなかでびっくりするほど大きな声がこだまする。「光あれ。」あの、すみません、もう光はあります。「光あれ。」あの、あるんですけど。「光あれ。」相手に声が届かないようなので、ちょっとマネして言ってみる。「光、あれ。」するとその大きな声はしずまり、誰もいないのに両手に手錠をかけられたかと思えば、今度は違う言葉が聞こえてきた。「逮捕する。」ここには法律もないのに、いったいどうやって逮捕されるのか、さっぱりわからない。すいすい泳ぎながら首をかしげていると、手錠がドロドロ溶けだした。次は指名手配にちがいない、逃げなくちゃ。そうだ、南の海へ行こう。あのあたりは安全だと知ってるから。

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