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核融合ロケットの研究(25)/日本の計画

先日、noteをチェックしていたら、興味深い記事を見つけました。
https://note.com/polipoli_info/n/n9c2d4bbec544
これは、本当にありがたいです。

核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会(第3回) 配付資料
   https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2022/1422489_00037.html

吉田先生の資料を読んでいたら、核融合推進・ロケットの記述もありました。
取り出してみますと、
核融合ムーンショット型研究開発の進め方
2035年マイルストーン
 可搬型核融合装置や宇宙推進核融合装置など新展開が見通せる技術の原理実証
「中間とりまとめ案」にも同様の記述あり
2035 年 (マイルストーン)
● フュージョンエネルギーの多様な社会実装に向けた革新用途の実証(可搬
型装置や宇宙推進装置などの新展開が見通せる技術の原理実証等)
(波及効果の例)
●高除熱機器(ダイバータ)の材料や構造の宇宙、ロケットへの応用
この書き方では、トカマク・spherical torus(ST)の成果を活かそうと考えている様であるが。

政府文書に、核融合ロケットが書かれているのは、私達は、大歓迎です。
しかし、原理実証(Proof of Principle :POP)が2035年とは!

ネットでfusion roketを検索すれば、例えば、
World's Largest Nuclear Fusion Rocket Engine Begins ...
https://www.sciencealert.com/worlds-largest-nuclear-fusion-rocket-engine-begins-construction
とかが出てきて、Pulsar Fusion, UK startupがPrinceton Satellite Systems , US
と共同で研究を進めています。Direct Fusion Drive (DFD)が基本。特徴は、非常にコンパクトであること。目標は、
The chamber, some 8 meters (26 feet) long, is scheduled to start firing in 2027 とか。


PulsarのHPから

他の記事を読めば、
The company expects static tests will begin next year, followed by an in-orbit demonstration in 2027. If successful, it would be the first nuclear fusion-based propulsion system to launch into space.

Its goal is to begin firing that chamber in 2025 and achieving fusion temperatures by 2027

などと強気な発言も見られます。

 私たちも、レーザー核融合ロケット(LFR)を2035年には、宇宙で実験機を飛ばしたい。Start upのBlue Laser Fusion(BLF)に期待している所です。
他にも、特に米国では、斬新なアイデアが常に提案され、POPを計画中です。例えば、磁場閉じ込め(MCF)と慣性方式(レーザー核融合など)との中間領域を狙う。特に、地上用炉とは関係ない、推進に特化したの方式です。地上用炉を宇宙に応用するという発想が安易過ぎるのか(自戒を込めて)。
Helicity Drive: A Novel Scalable Fusion Concept for Deep Space Propulsion

https://arc.aiaa.org/doi/10.2514/6.2020-3835


Helicity Drive: 概念図

 日本の計画は、先に述べましたが、2035年がPOPとは、のんびりしているのでは。トカマク・STの成果を推進に活かしたいと考えているのであろう。しかし、STは閉じ込めに良くても、推進に適しているとは限らない。他国は、それよりも5年は早く、実用化に懸命である。もちろん、start-up/ベンチャー企業は失敗する可能性があるのは承知である。
私が望むのは、DFDであれ、LFRであれどこかが、まずはトップを切ってPOPなり、実用化が見通せる所まで研究・開発を進めることである。そうすれば、他の方式・スタートアップが競って実用化し、将来的には、色んな核融合ロケットが宇宙を飛び交うことである。もちろん、競合に負けて、消え去る方式もあろうが。

 次の記事もnoteから情報を得ました。4MJでホウ素を燃焼させ、ゲインがある程度得られれば、凄いこと。
https://note.com/mogura2001/n/nd32e071b85db
中村修二氏が核融合に挑戦、軽水素とホウ素で逆転狙う
佐藤 雅哉 日経クロステック
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08282/
 青色発光ダイオード(LED)の発明でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が、核融合に挑戦する。同氏らは2022年11月、核融合スタートアップ米Blue Laser Fusion(ブルー・レーザー・フュージョン、BLF)を設立した。独自のレーザー技術を強みに、レーザー核融合で世界初となる商用化を目指す。発電能力を持つレーザー核融合実証炉を早ければ2030年ごろに稼働させる計画だ。

米University of California, Santa Barbara(カリフォルニア大学サンタバーバラ校、UCSB)教授の中村氏と、早稲田大学ベンチャーズ(WUV)ジェネラル・パートナーの太田裕朗氏らが共同創業者となりBLFを設立した。同社が目指すレーザー核融合は、燃料に強力なレーザーを繰り返し照射して核融合反応を起こして発電に利用する技術だ。

BLFは半導体レーザーの知見を生かすことで、独自のレーザー増幅の仕組みを開発した。同社は技術の詳細を公表していないが、レーザー核融合の定常運転に必要な4MJ(メガジュール)の出力と10Hz(ヘルツ)の繰り返し照射、レーザー効率10%以上を実現する目標だ。このレーザー装置は工学的な設計がシンプルなため、数年間の原理実証を経て実証炉に適用できると見込む。



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